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『新座頭市物語 折れた杖』 (1972年 勝プロダクション)

監督/勝新太郎
製作/勝新太郎、西岡弘善
企画/久保寺生郎
原作/子母沢寛
脚本/犬塚稔
撮影/森田富士郎
美術/太田誠一
編集/谷口登司夫
音楽/村井邦彦、宮本光雄
出演/勝新太郎、太地喜和子、吉沢京子、高城丈二、春川ますみ、青山良彦、大滝秀治、小池朝雄
カラー シネマスコープサイズ 92分
 座頭市シリーズの24作目で、勝自身が初めて自ら監督をした作品だ。
 お話は、座頭市(勝)が、旅の途中で、偶然ひとりの老女の事故死に立ち会うシーンから始まる。市はその老女の死が自分の責任だと感じ、老女の娘である遊女の錦木(太地)を身請けして救いだそうとする。
 ところが、市の首に賭けられた100両の賞金を狙うならず者や、市を倒してヤクザとしての地位を高めようとする親分・鍵屋万五郎(小池)らが、次々と市の命を狙ってくるのだった!!
 ストーリーは座頭市映画の王道をいくものにはなっているが、ドラマとしての新味が薄いのが残念だった。
 例えば賭場のシーンで、壷振りをやった市が壷からサイコロをこぼしてしまい、それを見た他の客が、市が気づいてないと思い込んで、ほくそ笑みながら大金を賭けるシーンなど、座頭市映画の定番的なシーンがいくつも登場する。つまり名場面を寄せ集めて手堅くまとめてしまった印象が強いのだ。
 それから、遊女役の太地が、いまいちその心のひだを覗かせる演技にまでは至っておらず、単にドライなだけの女としか見えなかったのも惜しい。これは太地の演技力というよりも、シナリオでもっと深めておきたかった部分ではないだろうか。
 映像的にも、アップとパンを多用したテレビ的な演出が画面を安っぽくしてしまっている。
 だた、殺陣に関しては勝にも自分なりにイメージや美学を持っていたらしく、クライマックスで両手を負傷した市が数十人を相手にたったひとりで戦うシーンの迫力は、この映画の大きな見どころだ。
 ところで、ひとつ気になったのは、話の中で杖が折れなかったこと。タイトルが「折れた杖」なのに、なんでだろう〜♪ これは、市が手をケガしたことを象徴的に言っただけってことかしらん……???

(2003/02/20)

「座頭市」シリーズ(全26作)
座頭市物語(1962)
続・座頭市物語(1962)
新・座頭市物語(1963)
座頭市兇状旅(1963)
座頭市喧嘩旅(1963)
座頭市千両首(1964)
座頭市あばれ凧(1964)
座頭市血笑旅(1964)
座頭市関所破り(1964)
座頭市二段斬り(1965)
座頭市逆手斬り(1965)
座頭市地獄旅(1965)
座頭市の歌が聞える(1966)
座頭市海を渡る(1966)
座頭市鉄火旅(1967)
座頭市牢破り(1967)
座頭市血煙り街道(1967)
座頭市果し状(1968)
座頭市喧嘩太鼓(1968)
座頭市と用心棒(1970)
座頭市あばれ火祭り(1970)
新座頭市・破れ!唐人剣(1971)
座頭市御用旅(1972)
新座頭市物語・折れた杖(1972)
新座頭市物語・笠間の血祭り(1973)
座頭市(1989)

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