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『続・座頭市物語』 (1962年 大映京都)

企画/久保寺生郎
監督/森一生
脚本/犬塚稔
原作/子母沢寛
撮影/本多省三
音楽/斎藤一郎
美術/太田誠一
出演/勝新太郎、水谷良重、万里昌代、城健三朗、中村豊、沢村宗之助、柳永二郎、伊達三郎
モノクロ シネマスコープサイズ 73分
 座頭市が鮮烈なデビューを飾った前作『座頭市物語』からちょうど1年後という設定で、座頭の市(勝)は、自分が斬った剣豪・平手造酒の墓参りにやってくる。ところが、その旅の途中で、たまたま按摩として招かれた本陣で殿様の秘密を知ってしまい、市は命を狙われることになる。さらにそこへ現れた凶状持ちの浪人・与四郎(城)は、市とは深い因縁のある人物だった……。
 今回は、勝の実兄である城健三朗(若山富三郎)が市のライバルとして、市の向こうを張った堂々とした演技を見せている。しかし勝と城の兄弟は本当に良く似ており、テレビの小さい画面で見ていると、ふたりが同時に出ているシーンでは、ちょっとカメラがロングになると、どちらがどちらか一瞬わからなくなるほどだ。

 ところで、この与四郎という人物は、物語が3分の2を過ぎるあたりまで、この話の中でどういう位置づけなのかがまるで見えてこない。市と、やくざや武士たちとの戦いの中で、この与四郎の存在はかなり浮いたものとなっているのだ。
 ところが、最初は単なるゲスト出演なのだろうかと思っていたら、中盤を過ぎたあたりからようやく関係が見えてきて、そのあたりから、俄然、画面全体に緊張感が増してくる。これは実に憎い演出と言うべきで、じっくりと作り込まれた脚本に、この映画のスタッフの自信があふれている。
 また、前作ではまだキャラクターの固まっていなかった座頭市も、この作品では、これ以後の作品へと連なるはっきりとした人物像が見えてくるようにていねいに作り込まれており、すでにシリーズ化が決まっていたに違いないことが読み取れる。市の衝撃の過去が明らかになった瞬間にスパッとエンディングを迎える潔さは、実に見事だ!

(2001/03/28)

「座頭市」シリーズ(全26作)
座頭市物語(1962)
続・座頭市物語(1962)
新・座頭市物語(1963)
座頭市兇状旅(1963)
座頭市喧嘩旅(1963)
座頭市千両首(1964)
座頭市あばれ凧(1964)
座頭市血笑旅(1964)
座頭市関所破り(1964)
座頭市二段斬り(1965)
座頭市逆手斬り(1965)
座頭市地獄旅(1965)
座頭市の歌が聞える(1966)
座頭市海を渡る(1966)
座頭市鉄火旅(1967)
座頭市牢破り(1967)
座頭市血煙り街道(1967)
座頭市果し状(1968)
座頭市喧嘩太鼓(1968)
座頭市と用心棒(1970)
座頭市あばれ火祭り(1970)
新座頭市・破れ!唐人剣(1971)
座頭市御用旅(1972)
新座頭市物語・折れた杖(1972)
新座頭市物語・笠間の血祭り(1973)
座頭市(1989)

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