Top 柴又名画座 No.154 Back
『新・座頭市物語』 (1963年 大映京都)

企画/久保寺生郎
監督/田中徳三
脚本/犬塚稔、梅林貴久夫
原作/子母沢寛
撮影/牧浦地志
音楽/伊福部昭
美術/太田誠一
出演/勝新太郎、坪内ミキ子、河津清三郎、丹羽又三郎、須賀不二男、武智豊子、真城千都世、近藤美恵子
カラー シネマスコープサイズ 91分
「座頭市」シリーズのカラー化第1作。故郷へ帰った座頭の市(勝)は、剣の師匠・弥十郎(河津)の元を訪ねた。市は、一度は、弥十郎の妹・弥生(坪内)と身を固める決意をし、やくざから足を洗う決心をするが、弥十郎はそれを許さず、さらに悪の道に足を落としてしまった。そんな弥十郎に市の怒りが爆発。市は、やはり自分はやくざであることを捨てきれないと悟り、再び仕込み杖を取った!!
 市の過去に触れた作品として、今後の展開のベースとなる重要なエピソードであったはずなのだが、実際にはキャラクターの彫り込みが浅く、特に剣の師匠である弥十郎の人間性が浅いのが残念である。市に剣の道を教え、市も尊敬しているはずの人物が、なぜこうも簡単に悪の心に染まってしまったのか、もうひとつ理由付けが欲しかった。市が弥生を好きになり、あっさりとやくざから足を洗う決心をするあたりもあまりにも安直で唐突である。
 またそれと同時に画面構成やストーリー展開もルーズで、全体的に見ていてだれてしまうのも惜しい。
 シリーズとしての「座頭市」が、実質的な本領を発揮するのは、次作『座頭市兇状旅』以後ということになるだろう。

(2001/03/29)

「座頭市」シリーズ(全26作)
座頭市物語(1962)
続・座頭市物語(1962)
新・座頭市物語(1963)
座頭市兇状旅(1963)
座頭市喧嘩旅(1963)
座頭市千両首(1964)
座頭市あばれ凧(1964)
座頭市血笑旅(1964)
座頭市関所破り(1964)
座頭市二段斬り(1965)
座頭市逆手斬り(1965)
座頭市地獄旅(1965)
座頭市の歌が聞える(1966)
座頭市海を渡る(1966)
座頭市鉄火旅(1967)
座頭市牢破り(1967)
座頭市血煙り街道(1967)
座頭市果し状(1968)
座頭市喧嘩太鼓(1968)
座頭市と用心棒(1970)
座頭市あばれ火祭り(1970)
新座頭市・破れ!唐人剣(1971)
座頭市御用旅(1972)
新座頭市物語・折れた杖(1972)
新座頭市物語・笠間の血祭り(1973)
座頭市(1989)

[Top] | [Back]