▲MOMO キャバリーノ(外径350mm)。握り部分が太目で力が入れやすく、デザインもシンプルでバランスよく飽きがこない。しかし最近の競技用ハンドルのように手のホームポジションの部分に指かけやエンボスなどの立体的モールドが施されておらず、競技用ハンドルとしてはすでに一時代前のものだ。
▲こんなふうに表面がボロボロ。運転していると表皮がどんどんはがれてくる。ステアリング本体はまったく問題ないんだけど、ザラザラな感触が不快だし、残念だけど、もう使えません。
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までこの車に付けていたハンドルは MOMOのキャバリーノというタイプで、前のCR-Xに乗っていたころからもう10年以上使っているものだ。
かなり前から表皮が傷んではいたのだが、それがこの台風でついに崩壊してしまったのである。
パジェロのノーマルハンドルは、バンや商用ワゴン車に使われているような、握りの部分が細くて外径のかなり大きいものなのでとても使いにくいのだ。見た目もダサいし(笑)。
ということで、オートバックス新小岩店で新しいハンドルを購入。交換することにした。
交換は以下の手順で行なう。1.中央のホーンボタンを外し、2.ハンドル本体とステアリングボスを固定している6本のビスを外す。3.これで古いハンドルが取り外せる。4.新しいハンドルを6本のビスで固定し、5.ホーンボタンを取り付ける。たったこれだけ。本来ならば、ものの10分で完了する作業である(※ノーマルハンドルからスポーツハンドルへの交換の場合は、ステアリングボスの取り付け作業が加わるため、これとは若干手順が違います。)。
ころが、今回は違っていた。MOMOのハンドルを固定しているビスは、6角レンチで回すタイプの皿ネジが使われている。これの4本までは難なく外すことができたのだが、残り2本のネジがどうしても外れないのだ。
潤滑剤を噴きつけてみたり、スパナにぼろきれを巻いてハンドルをたたいてみたり、何をしてもだめ。そこでレンチを無理矢理力ずくで回したら……、当然の結果ではあるが、ネジ山をなめてしまったのだ。
あわてたぼくは、整備士の資格を持つ弟に電話をかけて相談しようと思ったのだが、弟はまだ仕事から帰宅していなかった。
やむなくこの日の作業は中止し、続きは明日やることにした。と、ここまでが9月11日夜の話である。
けて12日。アメリカは日本時間の昨夜10時過ぎに起こった史上空前の同時多発テロに騒然とし、テレビもその報道特別番組一色となっている。
しかしそれでも我々の日常生活は続くのだ。午後、ハンドルを購入したオートバックス新小岩店に電話をして、ネジ山の件を話し、交換をやってもらえないか相談してみた。
すると店の返答は、「ドリルでネジの頭を削り落としてハンドルを外すことはできるが、そうするとステアリングボスも交換になる」ということだった。
ステアリングボスというのは、スポーツハンドルをステアリングポストに取り付けるための円筒形の部品のことで、各車種別に専用のものが発売されている。このステアリングボスを使用することで、MOMOやナルディといった社外品のハンドルを、さまざまな車に取り付けることができるのだ。
そしてこのステアリングボスは重要保安部品なので、ドリルを使ったことで万が一ボスに傷がついていると危険だから、外見的に傷がなくても交換しなければならない、と、お店の人は言うのである。
ショップとしてはもっともな意見だが、問題は、ぼくの愛車1987年式パジェロ用のステアリングボスがまだ売っているかということだ。電話で調べてもらったところ、やっぱり店頭在庫はなく、配送センターに問い合せなければならないという。これでは交換までに数日待たされるか、最悪、待たされたあげくに在庫はなかった、ということもあり得る。恐らくそれは他のカーショップでも同じだろう。
局、汚ない言葉で言うと、テメーのケツはテメーで拭け!! という結論に達したぼくは、外しかけたハンドルのビスを再び締め直し、車で10分ほどの場所にあるケーヨーホームセンター奥戸店へと車を飛ばした。もちろん、ドリルを買って自己責任でビスの頭を削り落とすためである。
そして左の写真の、(株)高儀製電動ドリルEDR-10KL 1,970円と、一般鋼材/鋳鉄・軽合金/合成樹脂用のハイス鋼ドリル刃13本セット1,280円(各税別)を購入。
この他にドリル刃セットも付いて1,680円という、もっと安いMADE IN CHINAな電動ドリルも売っていたんだけど、スペックを見ると、日本製の方がトルクがあるし、刃も丈夫に違いないと思い、こちらを選択した。
後で書くようにハンドル本体は特価で安く買えたのに、ここで税込み3,412円の追加出費となってしまった。痛い……。
宅後、さっそく自宅アパートの窓の外へ車を横付けし、延長コードをつなぎ合わせて窓の外までAC電源を引っぱってくる。
弟がこの家に一緒に住んでいた数年前までは、電動ドリルも、20mの長いACコードもあったんだけどね、弟が引っ越すときに持って行ってしまったのだ。
そしていよいよ作業開始。電動ドリルの刃の先端をビスの頭に当てドリルの引き金を引く。緊張の一瞬だ。何しろ電動ドリルなんてめったに使ったことがないのだ。ギュイーン!! 金属クズを飛び散らしながら、ビスの頭が削れていく。快調快調。様子を見ながら削っていき、2分ほどで1本目のビスの頭が取れた。やった!! なんだ、簡単じゃん!!
じ調子で2本目も……と思ったら、どうしたわけか今度はまったく削れない。不思議に思って刃先を見てみると、刃の先端のエッジがつぶれてダメになっているではないか。確かに削る感触も1本目よりかなり硬かった。そこで別の太さの新しい刃に替えてみたのだが、それもほとんど削れず、また同じように刃先がダメになってしまう。ビスの頭にオイルを付けてみてもダメ。さっきのビスとは材質が違うのだろうか?
とにかく、まったく削れなくなってしまったので、仕方なく、またまたハンドルのビスを仮留めし、近所の金物屋さんへ車を飛ばす。
そこで(株)イシハシ精工製の5.5mm径 鉄鋼用ハイス鋼ドリル刃 360円(税別)を2本購入。1本じゃまたダメになるかも知れないのであと1本は予備である。
これを先ほどの電動ドリル+ドリル刃セットの金額と合計すると、何と4,168円!! 本来は必要なかったはずのお金なので、痛さもひとしおである(号泣)。
そしてふたたび自宅前に車を横付けし、作業再開。今度は予備の刃もあることだし、刃を1本ダメにするつもりで思いきりドリルに体重をかけて削ってみる。すると、さっきよりは若干削れたものの、またすぐに刃先がダメになって先へ進まなくなった。うーむ、これじゃあ残る1本の刃を使ってもきっとまた同じだろう。
そこで、最終手段に出ることにした。他の仮留めしてあった4本のビスを全て外し、ハンドルを無理矢理引きはがしてみたのである。すると、半分以上削れて弱くなっていたネジの頭がポロッともぎ取れて、ハンドルは見事に外れたのであった。やったー!! ここまでで、作業開始からおよそ3時間が経過していた。
▲ナルディ クラシック(外径360mm)。握り部分の裏側には、昔のハンドルのように、指がおさまる波形の突起が全周に付いている。いきなりMOMOから持ち替えると細くて違和感がある。握り部分は太い方が高速コーナーでハンドルを支えやすく、スラロームでも回しやすい。しかし普通に街中を運転する場合には、適度に細い方が握力をあまり使わなくて済むので楽なのだ。だから長距離ドライブでは多分こっちの方が疲れないと思う。やはり本文でも書いたようにGT向きのハンドルなわけですね。 |
ンドルが外れれば、その後の作業は至って簡単である。ステアリングボスに残っていたネジの軸の残骸をラジオペンチとマイナスドライバーを使って取り外し、新しいハンドルを6本のナットで固定。ホーンボタンを取り付けるだけだ。
そして左が取り付け後の写真。買ったのはナルディのクラシックというタイプで、スポーク部分がクロームメッキのトラッドなもの。定価24,800円の製品が、特価で5,000円引きの19,800円(税別)……だったんだけど、ちょうどその割り引き分くらいがドリルとドリルの刃の代金に消えてしまった(涙)。
ハンドルは、最初は今回もMOMOにしようと思って店へ向かったんだけど、車がスポーツカーじゃないし、もうイイ歳だし(笑)、今回はグッとシックに大人の雰囲気を出すことにしてこれに決めた。
ナルディはスポーツハンドルとは言っても、MOMOのようにコンペティティブなものよりは、どちらかというとGT向きのトラッドなデザインの製品が多い。これもアルファロメオのスパイダーとか、小型のオープンスポーツカーに似合いそうなハンドルだ。
握り部分の太さも今まで使っていたMOMOキャバリーノより若干細めで、外径も10mm大きい。ちょっと使ってみた感じでは、パジェロのパワーステアリングの重さとのバランスもちょうどいい感じで、大きさも取り回しやすい。慣れれば前のMOMOより使いやすそうである。
それにしても、何でぼくは何か買い物をすると、いつもこう苦労するんだろう。今回もチョー疲れました!!