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『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 (2002年 アメリカ作品)


(C)2002 WARNER BROS.
原題/Harry Potter AND THE CHAMBER OF SECRETS
製作総指揮/クリス・コロンバス、マーク・ラドクリフ、マイケル・バーナサン、デイビッド・バロン
監督/クリス・コロンバス
脚本/スティーブ・クローブス
原作/J・K・ローリング
製作/デイビッド・ヘイマン
撮影/ロジャー・プラット
音楽/ジョン・ウィリアムズ
出演/ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ジョン・クリース、ロビー・コルトレーン
カラー シネマスコープサイズ 161分
※今回テキストとしたのは、日本語吹替え版
 第1作で賢者の石の謎を見事に解き明かした(?)ハリー(ダニエル)が、あれから1年後、再びホグワーツ魔法学校へやってきて、幻の秘密の部屋にまつわる怪事件の謎を解き明かす。
 鳴り物入りで公開されヒットした前作の続編ということで、クチコミで前評判が高まったのか、すでに公開2日目で前作を超える入場者数を記録しているという。
 へそ曲りなぼくは、こうした話題先行の映画は、たいていブームが去った後に3番館あたりでコッソリと見るのが常なんだけど、今回は、近所の子どもにせがまれて、何と公開2日目に見てきました〜(笑)。しかも実は、公開初日にも映画館へ足を運んだんだけど、何と午後2時過ぎの段階で、最終回まで満席で見られなかったという……。
 前作『ハリー・ポッターと賢者の石』の時は、柴又名画座ではけっこう辛口に書いちゃったけど、さて今回はどうだろう……。
 あ、因みにあらかじめ書いておきますと、ぼくはいまだに原作本を読んでおりません。……という前提でこの映画を見ると、随所に原作を知らない人間を置き去りにするようなエピソードの端折り方が見られたのが残念だった。登場人物のバックストーリーらしき断片的な描写が所々に見られるのだが、それが「ああ、このセリフの背後にはきっと何か意味があるんだろうな」という部分までしか類推できず、映画単独では人物の深みをそれ以上に深化させるには至っていないのだ。実はこれは、前作にも言えたことなんだけど、今回はその傾向がより顕著だったのだ。だから集中して会話の内容を把握しようとしないと、世界観の部分で置いてきぼりにされてしまうのだ。あ、ただしストーリーは単純だから話が見えなくなることはありませんのでご安心を。
 そして、この映画が、何でこんなふうにハリポタ(ファンの間ではこう呼ぶらしい)ファンじゃない一見さんを置き去りにするような作品になってしまったかというと、恐らくスタッフやキャストの、この作品に対する思い入れが相当に強過ぎるからなんだろうと思う。上映時間161分という長尺になってしまったのも、多分監督の強い思い入れのせいに違いない。そういう意味では、全員のこの作品に対する愛着がひしひしと伝わってくる映画ではあるんですけどね……。
 まー、ここで勝手な感想を言わせてもらうと(もともと勝手な感想を言うコーナーですが・笑)、ぼくは少なくともあと40分は縮めた方が今よりずっと魅力的な映画になったんじゃないかと思うんですけどねー。
 事実、魅力的なシーンはいくつもあったわけで、例えば、ロン・ウィーズリー(ルパート)の父親が中古車に魔法をかけて作った空飛ぶ自動車などは、意志を持ったフォルクスワーゲンが大活躍するディズニーのファンタジー『ラブ・バッグ』(1969)を思わせる活躍をして特に印象深かった(ただ、列車に追いかけられるスリルってのはちょっと……手あかにまみれ過ぎてますよねー、いくら何でも)。
 それから、ちょっとおしまいに、ネタバレしない部分までで、ラスト近くでぼくが感じた疑問についてちょっと触れておきますね。それでも映画を見る前に読みたくない人はここから先は読まないでね。


 ラスト近くで森の番人ハグリット(ロビー)が、ホグワーツの生徒全員から大喝采を受けるシーンがありますが、あれって意味不明じゃないですか? 何となく流れで彼が祝福されるから、見てる方もおめでたいような気にはなってくるけど、よく考えると何で彼があそこでどうしてあれほど讃えられるのか、いまだに分からないんですよ。「彼がホグワーツの人気者だから」と考えれば納得はできますけどね、映画のテーマに重ねてみると、やっぱりあそこで彼が讃えられた意味がまた不明になってしまうのです……。うーむ。もしかして、これも原作を読むと理解できることなのだろうか……。


 それからこれはおまけの情報ですが、よく映画の最後に出る長ーーいクレジットロールを終わりまで見ない人がいますが、この映画はクレジットを最後まで見ると、ちょっとだけ得した気分になれるカモ。

(2002/11/24)


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