大空をかけぬけた『星の王子さま』の作家
サン=テグジュペリ
監修/ | 鈴木一郎、 フランス文学研究家 | 作画/平松おさむ、 | シナリオ/黒沢哲哉 |
ぼくが中学校1年のとき、国語の教科書に『星の王子さま』の冒頭の部分が掲載されていて、当時の先生(女性)が「これは、皆さんにぜひいま読んでもらいたい本です。そして、大人になったときにまた読み返してほしい本です」と言われたのがとても印象的でした。それから1年ほどして、ぼくは岩波から発売されているハンドブック版を買って読みました。そのときは先生の言われた言葉の意味はわかりませんでしたが、今になってその言葉がとても大切な意味を持っていたことを知りました。あれからいつの間にか20数年が経ってしまいました。しかし、これはそんな思い出を振り返りながら楽しく書いた作品です。
作画も、「小学六年生」でゴルバチョフやエリツィンの伝記まんがのときにコンビを組ませていただいた平松さんにやっていただけて、とても楽しいものになったと思います。この本を読んだ小中学生の読者が、『星の王子さま』と出会って、それがその人の人生にとって大切な宝物になったりしたら、これはうれしいことですよ。ホント。(黒沢)
みずみずしい子どもの感性を持つ王子さまとの対話は、それまで大人のあいだで理解を得られず孤独だった飛行士のなかにひそむ子どもをよみがえらせ、最後に王子さまとひとつになってしまいます。
じつは、お話のなかでふたりに分けられている飛行士と王子さまとは、ともにサン=テグジュペリの分身だったのです。(解説「空をめざした行動する作家」鈴木一郎より)
97/12/10発行 小学館 本体価格:850円+税 ISBN4-09-270012-1