「ちょっとアンケートとってるんだけどォ…」、「あなたの健康と幸福をお祈り…」など、街角でつきまとってくる人は多い。大体は何かのセールスか宗教なわけだが、ここ1年ほどの間によく見かけるようになったのが「手相の勉強をしてるんですけど…」というやつだ。これって何なのか知ってる人いますか?
 というわけでウオッチをはじめたところ、ターゲットにした青年は、いきなりマリオン裏手へ行き、壁にもたれてうなだれたまま動かなくなってしまった。
 ありゃ、早くもウオッチしてるのを悟られちゃったかな??

 と、思ったらそうではなかったようで、5分ほどしたら、小さくガッツポーズをして気合いを入れ、再び表通りへと飛び出していった。自分で自分をはげましていたようである。

 そして、彼としては精一杯の笑みを浮かべて道行く人に声をかける。
 一緒に"手相活動"をしている仲間は6人。しかし声かけ中は仲間とすれちがってもチラッと目で合図をするくらいで全く会話は交わさない。そして当たり前だが、誰彼かまわず無差別に声をかけているわけでもない。まず一人が絶対条件。そしておとなしそうな青年と若い女性を中心に、ときたま中年のおばさんにも声をかけるといったところだ。体育会系の若者やサラリーマン、中年男性などは全く無視。だから声をかけられる人は最大6回も声をかけられるし、声をかけられない人はいくらゆっくり歩いても一度も声をかけられない。
 あと、この時のぼくのように、人待ち顔で立ち止まっている人にも声をかけない。

 誰も立ち止まってくれず、ちょっと途方にくれて立ちつくす青年。

 実はこの「手相の勉強を…」という謎の集団をウオッチしたのは今回で2度目。前に上野のABAB前でやはり2時間ほどウオッチしたことがある。
 しかしその時は面白がって堂々と彼らの後を尾けまわしたので、3人ほどに取り囲まれ「何でついてくるんですか?」と問い詰められてしまった。
「ぼくが行こうと思った方向とたまたま一致しただけですよ」とトボケて、そのあとも尾け回していたのだが、地下鉄の入り口へ逃げこんでまかれてしまった。

 おおっと! 注目していた青年ではなく仲間の一人が、"手相相手"をゲット! 20代半ばくらいのオシャレな女性だ。青年が女性の手の平を見ながら何かを質問し「そうなんですか」とさかんにうなづいている口の動きが見える。ああ、彼女はこれから怪しい事務所へ連れていかれ英会話教材を買わされてしまうのか!? それとも宗教に入信させられてしまうのか!? と期待したのだが、何も起こらず、約10分ほどで女性は立ち去っていった。

 しかし「彼らはやはり本当に手相の勉強をしているだけなんだ」と考えるのは早計すぎる。手相を見るといってもボールペンで手の平のシワをなぞりながら雑談をしているだけで、少しも勉強してたり、勉強の成果を披露しているようには見えないからだ。

 6時、全員が建物の片隅に集合(約30〜40分に1回の割合で集合する)。あれ? 女性も2人いるぞ。実は上野でもそうだったのだが、この集合の時になると、どこからともなく女性が現れるのだ。彼女たちが声かけに加わっていた様子はない。果たして彼女たちはどこで何をしていたのか、これは次回ウオッチのテーマである。

 彼らはこのあと、礼をして解散したから帰ったのかと思いきや、有楽町方面へ向かう路地にあるコンビニへ行ってそれぞれにジュースや菓子パンを買い、マリオン内の阪急3階のエスカレーター脇にある喫煙所でくつろいだのだった。
 解散した風に見えて別の方向へ歩き去った青年はジュースが欲しくなかっただけで、すでに先に喫煙所に来ていた。

 結局、ぼくがウオッチしていた1時間半の間に手相を見させてくれた人は、先ほどの女性も含めてわずか2人。もう一人も20代半ばの女性だ。彼女たちもよっぽどヒマなのか人がいいのかねェ?
 それと気になるのは、ほとんど成果がなかったにもかかわらず彼らが全く落胆した表情を見せていないことだ。この様子も上野でも全く同じだった(上野は完全に成果ゼロ)。
 嗚呼、一人もゲットできなかった青年たちよ、それじゃ手相の勉強にはならないんじゃないか? きみの青春はそれでいーのか!? 大きなお世話か!?
 てなわけで、彼らの正体は依然として不明のままちょうど時間となりました。本日のウオッチ、ここまで。

(QV-10Aで撮影)



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