『フランスの思い出』
(1987年 フランス作品)
原題/LE GRAND CHEMIN
監督・脚本/ジャン・ルー・ユベール
撮影/クロード・ルコント
美術/ティエリー・フラマン
音楽/ジョルジュ・グラニエ
主演/アネモーヌ、アントワーヌ・ユベール、バネッサ・グジ、リシャール・ボーランジェ
カラー ビスタビジョンサイズ 117分
母親が出産のために、9歳の少年ルイを、ブルターニュ地方の小村ルーアンスにいる親友の女性に預ける。ルイ(アントワーヌ)はそこで母親と離れた3週間の夏休みを過ごすことになった。
実はルイの両親は離婚の危機を迎えており、ルイもそれを薄々感じている。ルイの目を通して、それぞれの家庭が抱える問題点が浮き彫りになっていくあたりの描写がていねいでいい。
残念なのは、監督はルイ以外の人物にもかなり思い入れが強かったらしく、ドラマの視点がルイ以外に頻繁に移るため、ルイひとりに感情移入しにくかった点だろうか。
注目すべきはルイが預けられた家の隣家の少女マルティーヌ(バネッサ)で、彼女の家庭もまた問題を抱えており、そのために彼女は本当は素直なのに露悪的で反抗的な行動を取ってしまうという、ルイとの対比でひじょうに印象深いキャラクターとなっていた。
映像も、変なセンチメンタリズムに流されずに淡々と田舎の夏を撮っているところに好感が持てる。
ひとり個人的な悩みに心を痛めていただけのイノセントな少年ルイが、知らず知らずの間に、周囲の人々の心の傷を癒していく、そんなハートウォーミングな展開にジーンと感動です。
ところで、ルイの家はパリにあってそこからこの村へやってきたのだから、邦題の『フランスの思い出』というのはちょっと変なように思うのだが…別に間違いじゃないんだけどね。
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