『原子怪獣現わる』
(1953年 アメリカ作品)
原題/THE BEAST FROM 20,000 FATHOMS
製作/ジャック・ディーツ、ハル・チェスター
監督/ユージン・ルーリー
原作/レイ・ブラッドベリ
脚本/ルー・モーハイム、フレッド・フリーバーガー
撮影/ジャック・ラッセル
音楽/デビッド・バトルフ
特殊効果/レイ・ハリーハウゼン
主演/ポール・クリスチャン、ポーラ・レイモンド、セシル・ケラウェイ、リー・バン・クリーフ
白黒 80分
レイ・ブラッドベリの短編小説『霧笛』をレイ・ハリーハウゼンの特撮で映画化。北極で行われた原爆実験の結果、氷河の中から1億年前の恐竜がよみがえる。恐竜は漁船などを襲いながら帰巣本能によってニューヨークを目指す!!
この映画は劇場で見たことはないが、20年ほど前までしょっちゅうテレビ放映されていたので、テレビでは何度も見たことがある。
しかし『ジュラシックパーク』や最近のゴジラ映画などを見てから久々に見返すと、また新たな感想があるものだ。
その感想とは、
いくら技術が進歩しても、イマジネーションに関しては少しも進歩していないじゃないか!
ということ。特に柴又名画座でも5月に上映した
『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』
などを見ると、ニューヨーク上陸のシーンなんてモロにこの映画のイメージそのままではないか。むしろ人間ドラマに関しては、この映画の方が上だと思うぞ。
日本の『ゴジラ』(1954)や『大怪獣ガメラ』(1965)などにも影響を与えたということで、確かに、恐竜の姿をなかなか見せずに恐怖を盛り上げる展開など、かなりの部分で共通項が見られる。しかし映像的な部分よりも重要なのは、この映画が、科学者が人間側の主人公となって戦うというパターンの元祖であることだろう。日本の怪獣映画は、ストーリーや特撮イメージの陳腐さでだめになったというのもあるが、何よりも、この科学者VS怪獣パターンの泥沼からいまだに抜け出せないことも最悪だと思うのだ。
因みに原作者のレイ・ブラッドベリとSFXを担当したレイ・ハリーハウゼンのふたりのレイはアマチュア時代からの知り合いだそうで、こうして共に名を成したあとで一緒にいい仕事ができるというのはうらやましいですね。この映画以後も、もちろんふたりは親友で、互いの著書に献辞を書き合ったりしています。
(1999/08/16)
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