『犯人は21番に住む』 (1942年 フランス作品)

原題/L'ASSASSIN HABITE au 21
監督/アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
原作/スタニスラス・アンドレ・スティーマン
脚本/アンリ・ジョルジュ・クルーゾー、S・A・マーチン
撮影/アルマン・ティラール
美術/アンドレ・アンドリュー
音楽/モーリス・イバン
主演/ピエール・フレネー、スージー・ドゥレール、ジャン・ティシエ、ピエール・ラルケ
白黒 84分
“デュラン”と名乗る連続殺人鬼がパリの街を震撼させる。デュランは犯行現場に必ず自らの名前を記した名刺を残す。青年警視(フレネー)が、その犯人がジュノー街21番地の旅館ミモザに住むという情報を入手。牧師に変装して潜入するが、そこは怪しい人間の巣窟で、しかも、尚も殺人は続くのだった。
『恐怖の報酬』(1952)や『悪魔のような女』(1955)の名匠H・G・クルーゾー監督のデビュー作だということで、早くも後のサスペンスの巨匠たる風格を漂わせる演出が随所に光っている。
 特にシナリオが見事で、観客の視点が外れたところでうまく次の殺人が行われるため、最後まで犯人の予測がつかない。もちろんそのシナリオを的確に処理する構図と編集の妙も見事。犯人当てドラマという性格上、84分という短い映画にしては登場人物が多いが、それぞれの人物がうまく絡み合っており、無駄だと思われる役柄がひとりもいないところもすごい。これでデビュー作なのかー。うーん、やっぱ天才は最初から天才なのかもね。

(1999/07/23)


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