『個人教授』(1968年フランス作品)

原題/La Lecon Particulier
監督/ミシェル・ボワロン
主演/ルノー・ベルレー、ナタリー・ドロン
カラービスタサイズ 83分
 高校生の少年と年上の女性とのはかない恋を描いたスタンダードナンバーだ。初めて見たのは中学のころのテレビ放映だった。そのときは年上の女性フレデリック(ドロン)の気まぐれに振り回される、主人公オリビエ(ベルレー)の心の寂しさだけが強く感じられたけど、恋愛映画は歳をとってから見直すと感想が変わってきますね。
 今回はオリビエの気持ちばかりでなく、フレデリックやその本当の恋人でカーレーサーのフォンタナ(ロベール・オッセン)の気持ちまでがハッキリとわかって、それぞれの悲しみと孤独こそが、この作品全体を包み込むしっとりとした味わいを醸し出しているのだということがよくわかった。
 しかし、男から見るとこのフレデリックという女はいつも悲劇の主人公のような顔をしてるけど、その実、自分のわがままで2人の男を傷つけちまったヒドイ女なんだよなー(笑)。でも、男はそういう女になぜか惹かれちまうのもまた真実なんだよなぁー(涙)。
 この作品と同じような、年上の女性と少年のはかない恋を描いたアメリカ映画『おもいでの夏』(1971)でも、やっぱ女性にとって少年は寂しさの穴埋めでしかなかったんだよ。少年にとっては決してそうじゃなかったのに…。まったく女という生き物は…グチグチグチ…
 ところで、この映画全編を通して主人公の愛車として登場するのが、当時ホンダから発売されていた Little HONDA という、自転車のような足こぎペダルの付いた日本製原付バイクである。まだ日本製バイクや日本車が海外市場を席捲するようになるはるか前のことであり、当時この映画で活躍する Little HONDA を見た時、何か自分のことのように誇らしく思ったのを覚えている。
 それにいま見ると、フランスの街並みを駆け抜けてまったく違和感がないんだよね。フォンタナの乗る黄色いランボルギーニミウラと並んでもまったく遜色のない名脇役ぶりに拍手である。ホンダ万歳!! あー、少し元気が出てきた。

(1999/05/30)


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