『未来からの脱出』(1959年アメリカ作品)

原題/BEYOND THE TIME BARRIER
監督/エドガー・G・ウルマー
主演/ロバート・クラーク、ダーレン・トンプキンス
白黒74分 劇場未公開作品
 1960年。時速8000kmを出す超高速ジェット戦闘機が、試験飛行中に時間の流れを跳躍し、2024年の未来世界へたどり着いてしまう。そこは宇宙から降りそそぐ放射線によって死の世界と化していた。生き残った人々は地下にシェルターを築いて生活しているが、ほとんどの人が聴力と生殖能力を失い、滅亡の危機に瀕していた。
 この映画の世界では、1970年には人類は共同して宇宙開発をするまでになっていて、すでに火星にも人類を送り出しているという。ところが度重なる核実験によって電離層が破壊され、放射線が地球に降りそそぐことになったらしい。この映画はまさに現代のフロンガスによるオゾン層の破壊を予言していた? 近未来を描いた昔の映画を見ると、こんなディティールも楽しめますね。
 そういえば、同じ1959年に製作されたジョージ・パル監督の『80万年後の世界へ タイム・マシン』も、この映画と同様、悲観的な未来像を描いたものだった。アメリカの歴史を振り返ってみると、この時代はちょうどそんな気分だったのかもね。

(1999/05/28)


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