原題/PANIC IN YEAR ZERO!
監督/レイ・ミランド
主演/レイ・ミランド、ジーン・ヘイゲン
白黒91分
※オリジナルはシネマスコープサイズ95分
アメリカを始め、西側各国の複数の主要都市に、ある日突然原爆が落とされた。幸いにも郊外に住んでいて難を逃がれた中年の夫婦とハイティーンの娘、息子の4人家族が、混乱を逃がれてキャンピングカーで山奥へと脱出する。
中途半端な群集パニック映画にせず、最後までカメラがこの一家の行方を負い続ける割り切り方が物語のキレの良さにつながっている。次第に情報が広がっていくにつれ、ガソリンスタンドで便乗値上げが始まったり、不良少年たちが強盗になったりと恐怖がじわじわと伝わる感じは、SFというよりはサスペンス映画のそれだ。
ところでタイトルの“性本能”であるが、これはまったく看板に偽りありで、ただ不良少年たちが女性に暴行を加えるというシークェンスがあるだけのことだった。ぼくがタイトルから事前に予想していたような「原爆の放射能により、異常に性欲の昂進した男どもが全裸になって女性たちを追い回す」などというフシダラな映画ではまったくないのであった。それもそのはずで、原題は『PANIC IN YEAR ZERO!』ということで、性本能とはまるで関係がないのだ。何をガッカリしてるんですか、そこのキミ!(俺だ)