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『スパイダーマン』 (2002年 アメリカ作品)


TM & ©2004 Marvel Characters,Inc.
©2004 Sony Pictures Digital Inc.
原題/SPIDER-MAN
監督/サム・ライミ
製作/イアン・ブライス、ローラ・ジスキン
製作総指揮/アヴィ・アラッド、スタン・リー
原作/スタン・リー、スティーヴ・ディッコ
脚本/デヴィッド・コープ
撮影/ドン・バージェス
音楽/ダニー・エルフマン
出演/トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルステン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、J・K・シモンズ
カラー ビスタビジョンサイズ 121分
 幼いころに両親を亡くし、親切な伯父夫婦の元で育てられた内気な高校生ピーター(トビー)。彼は、隣に住むメリー(キルステン)に密かに思いを寄せているが、それを打ち明けられずにいる。
 そんな彼が、ある日大学の研究室を見学した際に、遺伝子組み換えによって作られたスーパースパイダーに刺されてしまった。そして一夜明けると、彼は鋼のように柔軟で強固な肉体と信じられないほどの跳躍力、そして手首から糸を吐き出す力を備えたスパイダーマンになっていた!!
 現在劇場で第2作『スパイダーマン2』が公開中だけど、いまさらながら第1作をやっと見ました。
「アメリカンコミックの定番ヒーローを、最新技術を駆使して映画化」 とお約束のアオリ文句を書いてみても、今やこれだけじゃ目新しくも何ともないため、どうしても食指が動かなかったのだ。
 ところが、今回初めて見てその先入観を一気に打ち破られてしまった。シナリオの出来が素晴らしく良いのだ。内気なダメ男が肉体も意識も次第にヒーローへと成長していく姿は気持ちよく、また、主人公を完全無欠のスーパーヒーローとせずに、街のチンピラもやっつけるし、火事場から子供も救う、身近でコンビニエンスなヒーローにしているところのさじ加減やパロディ感覚も絶妙だ。
 そして何より片思いの女性メリーへの思いがていねいに描かれており、それと正体を隠した仮面のヒーローとしての宿命がおりなす主人公の孤独……これはもうたまりませんね。

▲会社経営者にして科学者のノーマン(ウィレム)は、肉体強化薬を飲んで邪悪な心を持ち、突然このグリーン・ゴブリンのコスチュームをまとって現れる。しかしこのデザインは幼稚すぎ(笑)。もうちょっと何とかならなかったんでしょうか、ねぇ。
 夜、卒業間近のピーターが庭先でメリーと将来の夢を語り合うシーンがある。メリーがピーターに「あなたの将来は?」 と尋ね、ピーターはやや考えてこう答える。「さあね。でも今までと違った僕になる」
 これは青春真っ只でお互いにさまざまな悩みを抱えながら、間もなく社会へと旅立っていこうとする若者の希望と不安を描いた青春映画としても名場面だと思う。
 最近のハリウッド製SF活劇は、ビジュアルが派手なだけで内容が薄い作品ばかり見せられて来ただけに、この作品の完成度の高さにはうれしくなってしまう。
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 もっともこうした名場面も、冷静になって見れば実は昔からあったスタンダードなドラマを巧みに組み合わせているだけで、さほど新味はないんですけどね、それでもいいんです、気持ちよく見られれば。
 ただひとつ残念だったのは、敵役として登場するグリーン・ゴブリンのビジュアルが情けなくなるくらいチャチだったこと。もしかしたら原作コミックにも登場するキャラクターなのかも知れないけど、それにしてももうちょっと何とかならなかったんでしょうか。こいつが蚊トンボみたいな飛行装置にまたがって空を飛んでいるシーンだけは、どう見ても日本の子供向け戦隊ヒーロー番組としか思えませんでした。

(2004/08/04)


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