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『ドリヴン』 (2001年 アメリカ作品)


(C)1994 Warner Bros.
原題/DRIVEN
監督/レニー・ハーリン
製作/レニー・ハーリン、エリー・サマハ、シルヴェスター・スタローン
製作総指揮/ドン・カーモディ、ケヴィン・キング、アンドリュー・スティーヴンス
脚本/シルヴェスター・スタローン、ジャン・スクレントニー、ニール・タバクニック
撮影/マウロ・フィオーレ
音楽/BT
出演/シルヴェスター・スタローン、キップ・パルデュー、ティル・シュヴァイガー、バート・レイノルズ、エステラ・ウォーレン、ジーナ・ガーション
カラー シネマスコープサイズ 117分
 引退した元レーシングドライバー、ジョー・タント(スタローン)が、現役時代のライバルで現在はチームオーナーをしているヘンリー(レイノルズ)から、新進のエースドライバー、ジミー・フライ(パルデュー)の指導を頼まれる。
 レースの舞台裏で繰り広げられる恋愛や様々な人間関係を、華やかに世界中を転戦するグランプリ・レースのシーンを織り混ぜて描いた作品だ。実在するレースではなく、イメージ的にはF1とカートをミックスしたようなレースとなっている。
 予告編を見ると、公道をレーシングマシンで爆走するシーンがあったりして、「おっ、これは赤ペガの実写版か!?」と期待させる部分があったんだけど、実際に公道を爆走する理由は、女性にフラれてヤケになって走るというちょっち寂しい理由だったりして、ちょっとガッカリでした。
 レーサー同士の友情と恋愛を軸に描かれるストーリーも35年前に作られた『グラン・プリ』の時代からあまり進歩しているとは言えず、特にレーサーの足を引っぱるネガティブな女性の描き方がいまだに登場するのは時代錯誤もはなはだしい。
 キャスティングはすごく良くて、どの登場人物も、実際のレーサーを髣髴とさせる面魂を持っていた。ナイーブな天才肌のルーキー・フライを演じるキップ・パルデュー、ベテランドライバー、ブランデンバーグを演じるティル・シュヴァイガー、どちらも本当にレーサーにいそうなタイプに見えるよね。スタローンも、見た目は首も太くて確かにレーサーっぽいんだけど、キャラクターとしてはね……ちょっと、あり得ませんね(笑)。
 全体的にクラシカルなストーリーの中で唯一新しかったのは、チームオーダーで第1ドライバーを勝たせるために第2ドライバーが犠牲になるという部分だ。これは現代のF1レースでは、チーム同士の駆け引きとしてしばしば見られる光景だから、ここだけは気持ち盛り上がったかな。
 技術的には、CGを使えばここまでレースシーンを再現できるという可能性を示した意義は大きい。今度こそ、もっとしっかりしたシナリオでぜひ『赤いペガサス』の映画化を! ハリウッドで!! よろしくお願いしますよ!!

(2003/05/20)


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