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『ドラえもん のび太とロボット王国キングダム(2002年 東宝作品)


(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日
原作/藤子・F・不二雄
監督/芝山努
脚本/岸間信明
作画監督/富永貞義
原作作画/藤子プロ
美術設定/沼井信朗
美術監督/川口正明
撮影監督/梅田俊之
音楽/堀井勝美
声の出演/大山のぶ代、小原乃梨子、桑島法子、新山千春、たてかべ和也、野村道子
カラー ビスタビジョンサイズ ?分
 ペットロボットが流行し、スネ夫がペットロボットを自慢していたりする中、のび太が勝手に未来デパートから取り寄せてしまったロボットの中に、1体だけおかしなロボットが紛れ込んでいるのを見つけた。調べてみるとそのロボットは、未来デパートの製品ではなく、異世界からやってきたロボットだということが分かる。ドラえもんのタイムマシンで、そのロボットがやってきた世界を訪ねてみると、そこはロボットが人間と一緒に暮らすロボット王国だった。ところがその世界に君臨するジャンヌ王女(新山)が、ロボット改造命令を出していたため、王国のロボットは弾圧され、大変なことになっていた。
 藤子・F・不二雄先生亡き後も、順調に(?)映画もテレビも新作が公開され続けている『ドラえもん』シリーズである。そして今回も、いつものように異世界から、のび太のいる世界へと、トラブルを抱えた友人が転がり込んできて、いつものようにのび太たちがその異世界へと乗り込み、いつものように悪人たちをやっつけるというストーリーである。
 しかし、この永遠のワンパターンは基本的には許せるとしても、登場するキャラクターのバリエーションや、感動するポイントまでが毎回そっくり同じというのは実に残念だ。これと同じことを、去年の『映画ドラえもん のび太と翼の勇者たち』の時にも書いたが、今回もまたそれが繰り返されてしまったのだ。
 とにかく、このシリーズが現在陥っている最大の問題は、異世界からやってきた友人=今回の話ではロボットのポコ(桑島)が、のび太たちと友だちになる根拠が決定的に希薄だということだ。なぜのび太たちは危険をかえりみずにポコを、そしてロボット王国を救おうとするのか、彼らの心の交流が描かれないことには、観客ののび太たちを応援する気持ちにもいまひとつ力が入らないと思うのだがどうか。
 ここはひとつ、ぼくがプロットでも書いて東宝へ持ち込もうかな。いやマジで。

(2002/04/07)

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『ザ・ドラえもんズ ゴール!ゴール!ゴール!』(2002年 東宝作品)


(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日
原作/藤子・F・不二雄
監督・絵コンテ/やすみ哲夫
作画監督/高倉佳彦
美術監督/箭内光一
音楽/宮崎慎二
カラー ビスタビジョンサイズ ?分
 セリフなしのサイレントアニメで、サッカーに興じるドラえもんズの熱戦を描いた作品。懐かしのアメリカのスラップスティックアニメを思い起こさせるアクションの連続は見ていて楽しいが、いかんせんテンポが悪い。アクションが途中で止まってしまい、笑いもそこで醒めてしまうのだ。
 これは昔のスラップスティックアニメがフルアニメーションだったのに対して、リミテッドアニメーションだからだろうか。1秒間に24枚の絵を使うフルアニメーションに対して、1秒間に8枚平均しか絵を使っていないリミテッドアニメーションでは、早い動きをそのまま動きとして見せようとすると、結局、どう動いたのかが分からなくなってしまうのだ。努力賞。

(2002/04/07)

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『ぼくの生まれた日』 (2002年 東宝作品)


(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日
原作/藤子・F・不二雄
監督・作画監督/渡辺歩
脚本/藤本信行
美術監督/明石聖子
撮影監督/熊谷正弘
音楽/菊池俊輔
声の出演/小原乃梨子、大山のぶ代、たてかべ和也、野村道子、肝付兼太、千々松幸子、中庸助
カラー ビスタビジョンサイズ ?分
渡辺監督の感動シリーズも『映画ドラえもん』に欠かせないものとして、すっかり定着しました。短編はテレビシリーズに近いテイストを持っているため、安心して見られるところがいいですね。しかし今回の作品は、肝心の感動のポイントが少しずれていたような気がするのだが、どうだろうか。
 移転のため今はもうなくなってしまった、のび太が生まれた病院……。タイムマシンで過去へ行ったのび太は、その病院で自分の両親が、やがて生まれてくる自分に惜しみない愛情と期待をかけていたことを知る。と同時に、その病院の中庭に植えられていた大木が間もなく切られてしまうことを憐れみ、その木を救おうとする。
 ……のだが、この、のび太の両親がのび太に注ぐ愛情と、のび太が大木を救うことを重ね合わせる……というのは、よく考えると論旨がねじれているような気がするのだがいかがだろうか。あまり詳しく書いてしまうとネタばらしになるので、詳しくは作品を見て考えてみてください。

(2002/04/07)


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