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柴又名画座
No.187
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『ホワイトアウト』
(2000年 日本ヘラルド映画、フジテレビジョン、東宝、日本ビクター、電通、アイ・エヌ・ビー、デスティニー作品)
製作/坂上直行、宮内正喜、岸田卓郎、高井英幸
企画/塩原徹、河村雄太郎、島谷能成、永田芳男
原作/真保裕一
監督/若松節朗
脚本/真保裕一、長谷川康夫、飯田健三郎
脚本協力/福田靖
撮影/山本英夫(J.S.C)
音楽/ケイシン
美術/小川富美夫
出演/織田裕二、松嶋菜々子、石黒賢、古尾谷雅人、平田満、佐藤浩市、中村嘉葎雄、吹越満、橋本さとし、工藤俊作
カラー ビスタビジョンサイズ 129分
ある日、テロリストがダムを占拠、ダムで働く作業員らを人質に取って、ダムを爆破すると宣言し、日本政府に金を要求する。ところが、ただひとり屋外に出ていて虜になるのを免れた作業員の富樫(織田)が、ひとりぼっちの反撃を開始した!!
公開当時、織田裕二が厳寒の雪山で命がけのロケをしたということで話題になっていたが、実際、真冬の撮影は見ているだけで肌寒さを感じるほどのリアリティがある。あいにく小さなテレビ画面での観賞だったが、劇場の大スクリーンで見たら、この迫力はさらに倍増していただろう。
ストーリーの緊張感もなかなかのもので、連続するサスペンス描写や、ダムというシチュエーションを生かした小道具や舞台装置の使い方も巧みで、日本映画には珍しい冒険映画の佳作となっている。
ただ残念だったのは、恋人を雪山で失った悲劇の女性・千晶を演じた松嶋菜々子の表情が乏しく表現力に欠けていて、「恋人を死なせた男」として織田裕二を怨んでいるという状況が、いまいち伝わりにくかったことだ。
この千晶の感情は、富樫がたったひとりで命がけの戦いを挑む動機づけともなる最大のポイントだっただけに、松嶋菜々子にはもうひとふんばりがんばって欲しかった。
また、地元の警察署長・戸塚(工藤)が、政府のお偉いさんらを出し抜いて、抜群の推理力を発揮して富樫の行動をサポートする、というのは非常に魅力的な設定ではあるのだが、その推理が的中しすぎてちょっとウソ臭かったかな、とも思う。……が、これぐらいはフィクションとしての許容範囲だろう。
ラストに近づくにつれて、結果を急ぎすぎたのか、ありふれた展開になっていくのはけっこう残念。敵がいくら倒してもなかなか死なない!! というのもすでに古い手ですね(笑)。
(2002/03/05)
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