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『フェアリーテイル』 (1997年 イギリス作品)


原題/FAIRY TALE: A TRUE STORY
監督/チャールズ・スターリッジ
製作/ブルース・デイヴィ、ウェンディ・フィネルマン
製作総指揮/ポール・L・タッカー
原案/アルバート・アッシュ、トム・マクローリン、アーニー・コントレラス
脚本/アーニー・コントレラス
撮影/マイケル・コールター
音楽/ズビグニエフ・プレイスネル
出演/フローレンス・ホース、エリザベス・アール、ポール・マッギャン、フィービー・ニコルズ、ビル・ナイ
カラー ビスタビジョンサイズ 98分
 第一次大戦下のイギリス。父が出征して帰らない8歳の少女フランシスは、たったひとりで亡くなった母親の姉が住むヨークシャーのコティングリー村へとやってきた。そこには12歳になる従妹エルシーがいた。ある日、フランシスとエルシーは小川のほとりで本物の妖精を目撃する。その後、彼女たちがその妖精たちの写真を撮り、それが雑誌に掲載されたことから、イギリス中が大騒動になる。
 1917年にイギリスで起こった実話を元にしたストーリーで、当時の騒動は「コティングリー妖精事件」として記録に残っている。ホームズの生みの親である小説家コナン・ドイルや、脱出王といわれた天才マジシャン・フーディーニなどをも巻き込み、彼女たちが撮った写真の真贋をめぐる騒動はイギリス全土を騒がせたという。
 ぼくも高校時代に、超常現象に凝っていたクラスメートから、“本物の”妖精写真だと言って、その手の本に掲載されていたこの写真を見せられたことがある。
 そしてこの映画は、その妖精の実在を信じる子供たちを描いたファンタジーではなく、実は、その存在をめぐって大騒ぎを繰り広げる大人たちの姿を滑稽に描いた、風刺映画だったのである。

作中に登場する写真には、本物のエルシー(当時13歳)とフランシス(同10歳)が撮影した妖精写真が使われている。もっとハッキリ見せてくれ!!
 しかし、残念なのは、妖精を信じる側の大人たちの方が、どう見ても妖精の存在を信じない大人たちよりも格好悪く描かれていることだ。
 それによって、作品そのもののメッセージまでもが焦点を外してしまい、ファンタジーとしても大人の風刺映画としても中途半端な印象になってしまった。
 それは特撮についても言えることで、CGで描かれたのかミニチュアを合成したのかは分からないが、妖精たちの動きが何ともぎこちなく、生物感が薄いのだ。
 またストーリーも、ラストで、フランシスが生死の分からないお父さんと再会できるか出来ないかという話にすり替えて感動に持っていこうとするのは、あまりにも強引すぎる。
 史実をこれだけ引用しながら、彼女たちのよく知られている後日談がまったく描かれていないために、未消化な印象が残ってしまうのも惜しい。

(2002/01/01)


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