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『思春の森』 (1977年 イタリア・フランス作品)


原題/MALADOLESCENZA
監督/ピエル・ジュゼッペ・ムルジア
製作/フランコ・カンチェリエーリ
原作/ピエル・ジュゼッペ・ムルジア
脚本/ピエル・ジュゼッペ・ムルジア
撮影/ローサー・エリアス・スティッケルブルックス
音楽/ピッポ・カルーソ
出演/ララ・ウェンデル、エヴァ・イオネスコ、マルタン・レーブ
カラー ビスタビジョンサイズ 94分
 少女ラウラ(ララ)は、毎年夏になると、避暑にやってくる森で、少年ファブリツィオ(マルタン)と会うのを楽しみにしていた。ところが、思春期にさしかかっていたファブリツィオは、今年はなぜかいつも不機嫌だった。まだ幼いラウラにはその理由が分からず、ファブリツィオに振り回されてばかりの毎日だった。
 そんなある日、ファブリツィオの前に、森の奥の別荘にやってきたもうひとりの少女シルビア(エヴァ)が現れる。ファブリツィオはわがままなシルビアに惹かれ、夢中になる。そしてファブリツィオとシルビアはふたりで王と王妃を気取り、ラウラを奴隷のように扱い始めた。
 大胆な性描写もあって公開当時かなり話題になった作品だが、ぼくは大学時代に見てそれとは別の意味で強烈な印象が残っていた。とにかくファブリツィオとシルビアがラウラをいじめる描写が耐えがたいほどに残酷なのだ。
 あの残酷さはいったい何だったのか。ぼくはそれが気になり、その後ずっと再見したいと思っていたのだが、それが昨年10月にDVDで再発売されたため、こうして20数年ぶりに願いが叶ったのである。
 資料によれば、監督のムルジアは元々作家で、彼自身が書いた短編小説を映画化したのがこの作品だという。
 舞台は奥深い森の中だけで、登場人物はこの3人だけという、多分に実験的な構造の映画で、そこに監督の倒錯的な願望が生のままで描かれている。前回は残酷描写に紛れてそこまでは見えなかったが、今回は、その願望の生々しさが気恥かしいほどに見え、ある意味、この監督はとても純粋な人なんだなぁというのが、今回再見してみた感想だ。
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 しかし、言い方を変えると、子供特有の残酷さに名を借りて自分の願望を映像化するというのは、ある意味ズルイやり方だ。大人が演じると生々しくなることを子供にやらせて強引にファンタジーに見せかけてしまうというのは、映画の世界にありがちなまやかしの手段であり、この映画も危うくその陥穽に落ち込みそうになっている。
 しかしその奈落の淵でそこへ落ちるのをかろうじて押しとどめたのは、当時12歳だったというエヴァ・イオネスコの悪魔的な美しさだろう。彼女の妖精的な美貌は感動的なほどで、彼女をおいてシルビアの役はあり得ない。
 追記(2003/10):その後、この DVD は発売中止になってしまったようです。残念。

(2002/01/01)


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