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柴又名画座
No.182
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『ある脅迫』
(1960年 日活作品)
企画/茂木了次
監督/蔵原惟繕
脚本/川瀬治
原作/多岐川恭
撮影/山崎弘
音楽/佐藤勝
美術/千葉一彦
出演/金子信雄、西村晃、白木マリ、浜村純、小園蓉子
モノクロ シネマスコープサイズ 65分
新潟の銀行で、ヤリ手の次長(金子)が東京へ栄転することになった。次長の幼なじみで同じ銀行に勤務するも出世の遅れている男(西村)は、妻からは軽蔑され同僚からも軽んじられていた。そんな折、次長の元にヤクザがあらわれ、次長が行なった不正取り引きをタネに300万円を渡すよう脅迫した。次長は「金がない」と言うと、自分の銀行を強盗するように言われ、やむなく西村が宿直の夜に強盗を決行する決意をする。
メインの上映作品の併映作品として製作された短編映画だが、歯切れのよいストーリー構成と、分かりやすい人間関係の描写で、上質のサスペンス映画に仕上がっている。
見どころは、金子信雄と西村晃の確執が、ふたりの演技力によってセリフや演出を超えて際立った効果を上げている点だ。短いカットバックで切り取られるふたりの表情の対立が、お互いの心理的葛藤をどんどんと盛り上げて行く。
特に、強盗に押し入ってきた男が金子であることを知った瞬間の西村の表情の変化は、後にこれが伏線だったことも含めて、これ以上ない名演技であった。
(2001/11/08)
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