Top 柴又名画座 No.167 Back
『上意討ち 拝領妻始末 (1967年 三船プロ、東宝)

製作/田中友幸
監督/小林正樹
原作/滝口康彦
脚本/橋本忍
撮影/山田一夫
美術/村木与四郎
音楽/武満徹
出演/三船敏郎、司葉子、仲代達矢、加藤剛、山形勲、市原悦子、江原達怡
モノクロ シネマスコープサイズ 128分
 小林正樹監督が、初めて三船敏郎と組んだ作品である。
 会津松平藩の藩士・伊三郎(三船)は、ある日、藩主・松平正容(松村)が大奥から追い出した側妾・いち(司)を、長男の与五郎(加藤)の妻として迎え入れるよう命令される。
 やむなくその命令を受け入れた伊三郎親子は、いちの誠実さから次第に彼女を愛するようになった。
 ところが、突如、松平家に世継ぎ問題でトラブルが発生し、一転して、伊三郎親子にいちを返上せよとの上意が下った。
 藩主のあまりに理不尽なやり方に伊三郎親子は激怒し、お家断絶の覚悟で、いちを守るために上意を蹴った!!
 江戸時代の封建制度を鋭く風刺すると共に、伊三郎らの封建体制への反撃を愛の物語にしてしまった橋本忍のシナリオ構成の見事さには、ひたすら感服させられた。
 また構成ばかりでなく、セリフのひとつひとつの素晴らしさも際立っている。まったく無駄がなくそれでいて心に響いてくるのだ。やっぱり映画はこれでなくちゃ!
 昔、東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送されていた「日本映画名作劇場」で解説者の白井佳男が、映画が始まる前に毎回言ってたセリフを思い出しましたー。
「皆さんは、日本映画の本当の面白さを知っていますか。沈没する豪華客船や燃えさかる高層ビル。そうした大スペクタクル映画の面白さもさることながら、日本映画には、日本の風土や習慣に根ざした、日本映画にしかない素晴らしい魅力があるのです。さて、今夜は……」
 と言って、映画の前説に入るんだけど、覚えてる人いますか?

(2001/06/27)


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