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『タイム・アフター・タイム』 (1979年 アメリカ作品) |
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公開当時から気になっていた作品だったのだが、なぜか今日まで見る機会を逃していたもので、今回、20年もの時を経て初めて見た。
作家自身が主人公として活躍してしまうという話は多いが、この作品はタイム・マシンと切り裂きジャックを結びつけてしまったところに独創性がある。このアイデアによって、小説『タイム・マシン』のクラシックな設定が、一気に現代的なものになったと言えるだろう。
ただ、ディティールの描き込みが少々雑な気もした。まず、小説家がいきなり本物のタイム・マシンを造ってしまうというのはいくら何でも無理があるのでは。また、銀行員の女性と親しくなるプロセスも、ものすごく唐突で強引である。銀行を尋ねて来たウェルズに対して彼女が「サンフランシスコ観光に来たのなら案内してあげましょうか」などといきなり言い出して、自宅の電話番号を教えるなんて、そんなことあり得ないでしょう、いくらマクダウェルが二枚目だとしても。ねぇ。この2点は、この物語の要となる部分であるだけに、もう少していねいな表現が欲しかったですね。
それから、タイム・マシンの動作するときに発する光の合成がかなり安っぽかったのも気になった。1979年当時の映像技術なら、もう少し自然で幻想的な表現ができたと思うのだが。
それと、もうひとつ言ってしまえば、このタイム・マシンに装備されている安全装置の取り付け位置とその機能が今ひとつピンとこない。ストーリーの展開上必要だからくっつけたのだというあざとさが際立ってしまっているんですね。マシン本体のデザインと共に、一考を要するところだろう。
あ、なんか今回、かなりエラそうで批判的な文章になってしまったけど、実際にはけっこう楽しめた上質の娯楽作だと思います。