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『フーディーニ 天才魔術師の生涯』 (1998年 アメリカ作品)

原題/HOUDINI
監督・脚本/ペン・デンシャム
出演/ジョナソン・スカエッチ、ステイシー・エドワーズ、ポール・ソルヴィノ、レア・パールマン
カラー スタンダードサイズ 95分
 脱出マジックの天才と言われた伝説的マジシャン、ハリー・フーディーニ(Harry Houdini 1874-1926)の伝記映画。
 フーディーニを主人公とした映画には、過去に『魔術の恋』(1953)という映画があったのだが、そちらは、物語の中でフーディーニが舞台の上で死ぬことになっているなど、多分にヒーロー・フィクションとしての脚色がなされていた(実際には虫垂炎で死亡)。
 しかし今回の作品は、さすがに現代の映画らしく、フーディーニが生身の人間としてかなり人間臭く描かれている。若干マザコン気味で、夫婦ゲンカもするし、弟との確執もあるなど、ともすればちょっとやりすぎなくらいである。
 そのため、「天才魔術師の生涯」という邦題のサブタイトルから、華やかで華麗な人物の半生を連想すると、期待とはまったく違う映画を見ることになる。
 しかし、まあそれはそれとして、映画的な見どころとしては、もちろんさまざまな脱出マジックのシーンがたくさん挿入されているので、それだけでも十分に楽しめる。
 このマジック・シーンの描写に関しては、プロ・マジシャンの柳田昌宏氏もご覧になって絶賛されており、かなりしっかりした監修の元に撮影されたらしいことがうかがえる。
 ところで、フーディーニは、死の間際に、妻に「自分は必ず死の世界から脱出してきみの元に現われる」と言い残したと伝えられている。
 そして、くわしくは書かないけど、この彼の「遺言」が伏線となって、ラストシーンがまとめられているんだけど、この部分、もうあとひとひねりすれば、もっと感動したんじゃないかと思うんだよね。残念。

(2000/11/12)


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