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柴又名画座
No.129
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『
肉体女優殺し
五人の犯罪者』
(1957年 新東宝作品)
企画/佐川滉
製作/大蔵貢
監督/
石井輝男
脚本/中田勇、三輪彰
撮影/鈴木博
美術/小汲明
音楽/服部レイモンド
出演/宇津井健、三ツ矢歌子、三原葉子、天知茂、若月輝夫
モノクロ スタンダードサイズ 75分
カルト映画監督・石井輝男の演出する犯罪映画である。この映画でも、何といっても新聞記者に扮する宇津井健の魅力が光っている。当時の宇津井健の役者としての良さは抜群だったんですね。
物語は、浅草のストリップ劇場で、公演中に殺人事件が起こったところから始まる。ステージ用の拳銃がいつの間にか本物とすり替えられており、ストリッパーが死んだのだ。
ここからが映画らしいところで、新聞記者の主人公が、警察よりも先回りして、どんどんと現場へ首を突っ込み、関係者にも聞き込みをして、事件の真相を解き明かしていくのである。
やがて、この事件の奥には、麻薬密売組織があり、それにからんだ五人の犯罪者の姿が浮かび上がってくる。
浅草や隅田川周辺を中心にしたロケーションシーンが多く、いまだ闇市の雰囲気を残している浅草の、雑然とした賑わいが見られるのも今では貴重で懐かしい。
まさにこの風景は、ぼくが子供の頃、親に連れられてよく行った浅草の風景そのままなのである。
風景といえば、オーソン・ウェルズ主演の名作『第三の男』を思わせる、下水道での追跡シーンなどもあって、低予算映画ながら、観客サービスを出し惜しみしていないところも好感が持てる。
(2000/05/08)
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