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柴又名画座
No.127
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『恋人』
(1951年 新東宝作品)
監督・脚本/
市川崑
原作/梅田晴夫
脚本/和田夏十
撮影/横山実
音楽/服部正
出演/池辺良、久慈あさみ、千田是也、村瀬幸子、北林谷栄、横尾泥海尼、森繁久弥
モノクロ スタンダードサイズ 70分
梅田晴夫の放送劇「結婚の前夜」を和田夏十と市川崑が脚色したもの。
結婚式を明日に控えた良家の子女である娘(久慈)が、幼い頃から兄妹のようにつきあってきた甥の青年(池辺)と共に夜の街を遊び歩く。
最初は、妙に明るく振る舞う娘の姿を両親の視点から見せることで、現代っ子的なドライさを見せていたものが、次第に視点は娘と、甥の青年の方へ移っていき、その笑顔の下に隠された複雑な心境を描き出していく。
倉本聰がまだ大家になる前によく書いていたような、世代の差による考え方の違いと、また逆に両者に通じる無言の心の交流みたいなものを同時に描いた、秀作テレビドラマの元祖と言えるものだろう。
白井佳夫風に言えば、日本映画の本当の魅力というものは、かつてこういう心のひだの描き方にあったのではないか。そんなことを思う映画であった。
テレビが普及した現在、こうした役割は劇場映画ではなくテレビドラマにあるのだろう。誰か、若手ドラマ作家がこの名作に目をつけてテレビドラマにリメイクしないかなぁ。
(2000/05/04)
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