Top 柴又名画座 No.117 | Back |
『第七天国』 (1927年 アメリカ作品) |
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とにかく、全編にただようハートウォーミングな空気に息苦しくなってしまうほど。それも、強引に盛り上げて感動を作り出すのではなく、人々のやさしさがじんわりと伝わってくる、そんな映画なのだ。
人の人生は楽しいことよりも辛いことの方がずっとずっと多いけれども、その人生の中に、ほんのささいな幸せと他人への思いやりさえあれば、その人の人生は幸福である。そんなテーマが最初から最後まで貫き通されている。
淀川長治の選んだ名作映画100撰の中の1本で、ビデオの冒頭には、あの懐かしい淀長節で、この映画に対する思い入れが切々と語られている。その言葉と共に、ぼく自身にとっても、重要な一本になったことは間違いない。
それにしても、世の中には、ぼくの知らない名画がまだまだあるとあらためて思う。映画は出会いだ。これからもこんな素晴らしい出会いがいくつあるんだろうと思うと、楽しみでしょうがない。だから映画はやめられない。