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柴又名画座
No.116
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『現金に手を出すな』
(1954年 フランス・イタリア合作作品)
原題/TOUCHEZ PAS AU GRISBI
監督/ジャック・ベッケル
原作/アルベール・シモナン
脚本/ジャック・ベッケル、アルベール・シモナン、モーリス・グリフェ
撮影/ピエール・モンタゼル
出演/ジャン・ギャバン、ルネ・ダリー、ジャンヌ・モロー、リノ・バンチュラ
白黒 スタンダードサイズ 96分
初老のギャング・マックス(ギャバン)が、最後の大仕事として5000万フランの金塊強奪を成功させる。しかし、相棒のリトンがそのことをクラブのダンサーにしゃべってしまったことから、麻薬密売人アンジェロが、その金塊を狙ってリトンを誘拐。マックスは相棒のピエロと共に、リトンを取り戻すためにマシンガンを手にした。
フランス映画というのは、前半で人間関係をしっかりと描き、見せ場はすべて後半に持ってくるというスタイルがよくあるけれど、この映画はまさにその典型で、前半はほとんどストーリーが動かない。
かつて学生時代に映画を夢中になって見ていたころは、そういうじっくり型のフランス映画がしゃれていると思ってのめりこんでいたのだが、今はどうも映画の見方が怠惰になってしまい、気がそれてしょうがない。ストーリーも人間関係もわかりやすく、前半にも見せ場たっぷりのアメリカ映画ばかり見ていると、こんな弊害が出てきてしまいます。
と、それはさておき、義理と人情に生きるヤクザというのはまったく日本映画のセンスに近く、この年代のフランス映画が日本のやくざ映画やギャング映画に与えた影響は大きいことがよくわかる。
そして、老やくざを演じるジャン・ギャバンの無邪気な笑顔が実に魅力的だ。自分の足を引っぱってばかりいる相棒を最後まで見捨てず、友情を貫く男の生きざま。そしてマシンガンを手にしたり、アメリカ製の自動車を自慢したりするシーンでは、その笑顔がまるで子供のように見えてくる。やっぱり男はこうでなくっちゃ!
(2000/03/25)
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