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柴又名画座
No.114
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『非情の罠』
(1955年 アメリカ作品)
原題/KILLER'S KISS
製作・監督・脚本・撮影・編集/スタンリー・キューブリック
出演/フランク・シルヴェラ、ジェイミー・スミス
白黒 スタンダードサイズ 67分
スタンリー・キューブリック監督の長編第2作。
2年ぶりの復帰試合に負け、故郷へ帰ろうとしている落ち目のボクサー(フランク)が、アパートの向かいの棟に住むダンスホールのダンサー(ジェイミー)と知り合い、恋に落ちる。
しかしダンサーに一方的に思いを寄せるダンスホールの支配人は、ギャングを使ってボクサーを妨害し、彼女を自分のものにしようとする。
前半は、ボクサーとダンサー、共に不幸を背負ったふたりの男女の恋物語風であるが、後半、ギャングたちが、ボクサーと間違えて、ボクサーのマネージャーを殺してしまったところから、一転、ドラマはサスペンスタッチの緊張感に包まれていく。
光と影を効果的に使った、キャロル・リードやオーソン・ウェルズを髣髴とさせる硬質なモノクロームの画面は、アメリカ映画というよりは、むしろイギリスの探偵映画風である。
クライマックスのマネキン人形倉庫での息づまる格闘シーン(左の画像)など、まさにオーソン・ウェルズの『上海から来た女』の、ミラーハウスのシーンを思わせる。計算された職人芸とはこういうことを言うのでしょう。
(2000/03/22)
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