『蝿男の恐怖』 (1958年 アメリカ作品)

原題/The Fly
製作・監督/カート・ニューマン
原作/ジョルジュ・ランジュラン
脚色/ジェームズ・クラヴェル
撮影/カール・ストラス、A.S.C.
音楽/ポール・ソーテル
出演/アル・ヘジソン、パトリシア・オーウェンズ、ビンセント・ブライス、ハーバート・マーシャル、キャサリン・フリーマン、チャールズ・ハーバート
カラー シネマスコープサイズ 94分
※日本劇場未公開作品。柴又名画座のテキストとしたのはトリミング版
 科学者アンドレ(アル)は、物質電送機を発明。自らその装置に入り、人体実験を行なうが、その際、機械の中に誤って1匹の蝿が紛れこみ、それと一緒に電送されたアンドレは、哀れ蝿男となってしまう。
 この映画は、小学生の頃から、テレビで何度も見ており、ラストシーンなども鮮烈に覚えていたのだが、物語が倒叙法で語られていたのだということは、すっかり忘れていた。
 冒頭、いきなりアンドレの妻エレーヌ(パトリシア)が、夫がプレス機に頭を突っ込んで死ぬ場面に立ち合っているというショッキングなシーンから始まっているのだ。
 こうした倒叙法は、最近ではややクラシックな手法になっているが、これによって物語の悲劇性が高まり、単なる怪物映画ではなく、悲しい恋の物語として演出することに成功している。
 倒叙法の怪物映画というと、日本では東宝の『マタンゴ』や『獣人雪男』などがすぐ思い出される。しかし、こちらは両方ともミステリアスなムードを盛り上げるために倒叙法が用いられていた。
 しかし、なるほど、倒叙法で悲恋物語も演出できるのですね。

(2000/01/13)


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