たまたま隣に座った女子中学生とそのお母さん。シートに座るやいなや、かばんから進学塾でやったテスト用紙を取り出させ、間違った箇所を消しゴムで消させて、ガミガミ怒鳴りながら復習させている。
 たまたま目を転じて中吊り広告を見ると「アエラ」の記事に「一流校神話の崩壊」みたいな見出しが目に入った。確かに今どきバリバリ勉強してどうなるもんでもないのにねぇ…。
“教育ママゴン”という言葉が流行したのは第一次怪獣ブームの頃。ぼくの友人もこぞって学習塾へ行くようになったっけ…。

 などと物思いに耽っていると、隣から「バシッ」という鋭い音がする。横目で見てみると、女の子が間違った答えを書いたために、ママゴンが答案用紙に向かって消しゴムを叩きつけた音だった。
「どうしてそうなるの!? 違うでしょ!!」叱責の声が飛び、容赦なく突き出された肘鉄が少女の脇腹に食い込んでその上半身をぐらりと揺らす。
 それに対して少女の方は、焦るでもなく泣くでも怒るでも反発するでもなく全くの無表情。ただ黙々と指摘された箇所を消しゴムで消し、また黙々と答えを書き込むのであった。
 うーむむ…(以下、ノーコメント)。

(QV-10Aで撮影)



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