『錆びたナイフ』 (1958年 日活作品)

製作/水の江滝子
監督/舛田利雄
原作/石原慎太郎
脚本/石原慎太郎、舛田利雄
撮影/高村倉太郎
音楽/佐藤勝
出演/石原裕次郎、小林旭、宍戸錠、北原三枝、白木マリ、杉浦直樹
白黒 シネマスコープサイズ 91分
 今はカタギのバーテンとして働く橘(石原)には殺人の前科があった。5年前、恋人がヤクザに強姦され自殺して、相手の男をナイフで刺して刑務所送りとなったのだ。
 そしてその橘の周囲に再び犯罪の臭いが立ちこめはじめる。
 モノクロの引き締まった画面と、計算された構図が、脂ののった最盛期の桝田利雄演出のキレを感じさせてくれる。
 ただ裕次郎主演のヤクザ映画は、真面目すぎてまったく遊びがないのでけっこう疲れるんだよねー。ストーリーも、黒幕の正体がすぐにネタバレしてしまったりと、お約束通りに流れてけっこう平凡。  見どころは裕次郎のいちばんイキイキしていた頃の演技と、裕次郎の弟分役の小林旭が、のちに和田宏治が演じるような気の弱い若僧を演じていることでしょうかね。
 ところで、主題歌の歌詞に「真っ赤に錆びたジャックナイフが出てきたよ」というくだりがある。ジャックナイフというのは折り畳み式ナイフのことだ。ところが映画に登場するのはアイボリー風の柄のついた折り畳めない登山ナイフで、これがずーーーーーっと昔から気になってるんですけど。いいのか、日活映画だから。
 これ、前にもどこかで書いたことがあるけど『口笛が流れる港町』(1960年)という、口笛も流れないし、港町も出てこない映画があるくらいですから(笑)。

(1999/10/05)


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