『真夏の少年』 (1991年 野村企画作品)

製作/足立源一郎
監督/野村惠一
脚本/中村努、野村惠一、小笠原恭子、松下裕治
主演/江口洋介、車和也、キューティー鈴木、白川和子、汐路章、小柳みゆき
カラー ビスタビジョンサイズ 90分
 マサル少年(車)が12歳の夏、兄(江口)が東京から恋人(鈴木)を連れて帰郷した。しかしマサルは兄の背中に入れ墨があるのを見てしまう。
 幼い日の夏の思い出を綴った映画には、甘い余韻を持った作品と苦い味わいの作品の2系統があるが、これは後者の方。ちょっと意味合いが違うけど、『おもいでの夏』(1971年 監督/ロバート・マリガン、主演/ジェニファー・オニール)なんかも後者に分類されますね。
 ロングショットを多用し、画面中央を左右に水平線や地平線が走る構図は、思い出の夏を描く映画における基本的なアングルだ。映画はそうした基本を忠実に守りながら、思春期にさしかかる少年の複雑な思いと、甲子園へ行けなかった元高校球児の兄の思いを交錯させていく。ただ、思い入れが強過ぎたのか、もったいぶった控え目な表現が多く、マサルの、兄の恋人に対するほのかな想いなどもっと描いてもよかったのではないかな。

(1999/06/22)


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