『虎鮫』 (1932年アメリカ作品)

原題/TIGER SHARK
監督/ハワード・ホークス
原作/ホーストン・ブランチ
脚本/ウエルス・ルート
主演/エドワード・G・ロビンソン、リチャード・アーレン、ジータ・ヨーハン
白黒 78分
 鮫に喰われて左手を失ったマグロ漁船の船長マイク(ロビンソン)と、その相棒で親友のパイプス(アーレン)が、ひとりの女性をめぐってくりひろげる三角関係の恋愛ドラマだ。
 物語の骨格は凡庸なものだけど、主人公が手首を失ったのが親友の命を救おうとしたためだということが、この3人の運命の行方に奥行きを与えている。
 ロビンソンが、親分肌で人はいいけれど女性の扱いは苦手という男を、くるくる変わる表情(特に目)の演技で巧みに表現している。一方、アーレンの演じるキャラクターにはこれといった特徴がなく、ただの二枚目でしかないのが残念だったけど、これは78分という短かさのせいだろうか。
 しかしまぁ三角関係のドラマというのは、誰かがその競争に敗れて去らなければならないわけで、親友同士が争うドラマというのは、その過程でそれぞれの人物がどれだけ幸福であったにせよ、どーも後味が悪いです。
 左手に『ピーターパン』のフック船長のような曲がった鈎手をつけたロビンソンが、結婚式でその鈎手に結婚指輪を通している部分はシャレが効いていて面白かった。

(1999/06/19)


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