『鉄塔 武蔵野線』 (1997年「鉄塔 武蔵野線」製作委員会作品)
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原作/銀林みのる
監督・脚本・編集/長尾直樹
撮影監督/渡部眞
主演/伊藤淳史、内山眞人、菅原大吉、田口トモロヲ、麻生祐未、塩野谷正幸、梅垣義明
カラー シネマスコープサイズ 116分
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両親の離婚が決まり、引っ越しを間近かに控えた小学生最後の夏休み。少年は、自分の家の近所に連なる高圧線鉄塔の“元”、つまりそこに流れる電気の源流をつきとめるべく小さな冒険の旅に出る。
日本ファンタジーノベル大賞を受賞した銀林みのるの同題の小説を、『東京の休日』(1991)の長尾直樹が監督した作品だ。
原作は、ぼくは書店で単行本を見て、期待してすぐに買ったんだけど、実は冒頭の数ページを読んだところで中断してしまった。冒頭の部分で、記述が鉄塔そのものにこだわりすぎていて、物語がいっこうに先へすすまなかったためである。
映画の方も、原作通りにそうなっているんだけど、何と、後半になるに従ってどんどん面白くなっていくじゃありませんか!!
中盤はやや類型的とも言える展開になるけど、それもまた懐かしい味わいでよい。つまりは『スタンド・バイ・ミー』なんですけどね(笑)。
しかし見せ場は後半だ。後半からラストにかけてはまったくのオリジナルなストーリーになるのである。少年の鉄塔に対する思いと、家族に対する思いが重なり、深い余韻を持ったドラマになっていく。
映像的には、ずっとピーカン(快晴)の天気の中で撮影されているのに驚く。日本じゃ真夏でもあれほど快晴の日は続かないのではないだろうか。いったいどれだけの天気待ちをしてどれだけの日数をかけたのでしょうか。
それにしても、少年の日のひと夏の思い出を主題にした映画ってたくさんあるけど、もうその主題だけでわくわくしちゃいますよね。先月柴又名画座で見た、台湾・香港合作映画『川の流れに草は青々』(1982)とか、ちょうど去年の今ごろ日本テレビで放送された、イブ・ロベール監督の『プロヴァンス物語 マルセルの夏』(1990)も良かったなぁ。そうそう、さっそく『鉄塔 武蔵野線』の原作の続きを読まなくちゃ(笑)。
(1999/06/16)
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