『次郎長三国志・次郎長初旅』
(1953年東宝作品)
監督/マキノ雅弘
主演/小堀明男、若山セツ子、河津清三郎、田崎潤
白黒 83分
東宝の「次郎長三国志」シリーズ第2作。歯切れのよい演出は第1作『次郎長売出す』よりもさらにスピードアップしている。
この2作目では、次郎長親分の名も少しは知られるようになっているという設定で、子分たちも自慢の親分を盛り立てる。一方の親分は、ただ怒鳴るだけでなくやさしいだけでなく、しっかりと部下の信頼を勝ち得ているその風格には本当のカリスマが感じられる。これは果たして小堀の貫禄なのか、演出の力か。
森の石松(森繁久弥)
またこの回から登場する森の石松(森繁久弥・右の写真)は、資料によれば森繁の当たり役だということで、確かにそのクルクル変化する表情は、新参者ながらいっぺんで田崎潤らを食ってしまうほどだ。普段は吃語症ぎみにしゃべっているのに、ひとたび性根を据えて啖呵を切り出すと立て板に水の如くとうとうとしゃべり出す。この人を食ったキャラクターはまさに森繁ならではの味ですね。しかし残念ながら森繁はこの作品では顔見せ程度の出演にとどまっており、彼の本当の活躍は、シリーズ第3作、その名も『次郎長と石松』を待たなければならない。
それと、この「次郎長三国志」シリーズに監督助手としてクレジットされている岡本喜八郎というのは、後の岡本喜八監督のことかな。こういうことは映画資料をみればすぐにわかると思うんだけどね。すまんス。
追記:その後、このシリーズを続けて見ていたら、第5作『殴込み甲州路』のクレジットには“岡本喜八”となっていました。やはりあの岡本喜八監督だったようです。
(1999/06/07)
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