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柴又名画座
No.249
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『OSS 117 カイロ スパイの巣窟』
(2006年 フランス作品)
原題/OSS 117,Cairo Nest of Spies
監督/ミシェル・ハサナヴィシウス
製作/ニコラ・アルトマイエール、エリック・アルトマイエール、フランク・ショロ
脚本/ジャン=フランソワ・アリン
音楽/ルドヴィック・ブルス、カメール・エシュ=シェク
美術/マーマール・エシュ=シェク
出演/ジャン・デュジャルダン、ベルニース・ブジョ、オーレ・アティカ、フィリップ・ルフェーブル
カラー ワイドサイズ 100分
東京國際映画祭コンペティション部門出品作品。
1955年のエジプト・カイロを舞台に、暗躍する各国スパイの争いを、60年代のスパイ映画のパロディとして描いたフレンチ・コメディだ。
アバンタイトルのシーンは、モノクロの映像でナチの飛行場シーンから始まるんだけど、ここは『カサブランカ』などを思わせる50年代の戦争映画風で思わずニヤリ。
続くタイトルシーンがこれまた、いかにもスパイ映画風な音楽に乗せて、幾何学模様のアニメーションが動くのが、60年代スパイ映画風でつかみはOKという感じだ。
その後はカメラワークから、音楽の使い方から、車の走行シーンで使われる背景映像のわざとらしい合成まで、全編、モロに60年代のスパイ映画をパロっていて、当時のスパイ映画を、小中学生時代にテレビの洋画劇場で数多く見てきたぼくらの世代にとってはたまらない楽しさだった。
スパイ映画のパロディというと、柴又名画座でも上映した
『オースティン・パワーズ』
を思い出すけど、あのモロに悪ふざけ風のノリとは全く対照的な、フランス風の“静かな笑い”が小気味いい。
静かな笑いというのは、『オースティン・パワーズ』のように一緒になって悪乗りするのでも、アメリカンコメディのように大爆笑させようとするのでもない。
ケンケンのように肩でクックックッと笑ってしまうような、控え目でシニカルな笑いなのである。昔のベルモンドの映画とか、まさにそんな感じでしたよね。
舞台挨拶に登場した監督さんはかなり若そう(30代前半?)だったけど、どんな映画体験をしてきたんでしょうね。フランスはフィルムセンターみたいなのがいっぱいあって、映画を勉強する学生にとってすごく恵まれた環境だというから、そういう場所で昔の映画を見まくったのかも。
タイトルやパンフレットの作品紹介からはコメディであることが全く予想できなかったので、最初は目が点になったけど、映画としては最初から最後まで楽しめた。
フランスではヒットして2年後には続編の製作も決まっているとのことだから、日本でもぜひ正式に配給されて続編も見てみたいですね。
(2006/10/27)
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