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柴又名画座
No.245
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『野良猫ロック ワイルドジャンボ』
(1970年 日活作品)
監督/
藤田敏八
製作/笹井英男、岩沢道夫
原作/船地慧
脚本/永原秀一、藤田敏八
企画/佐々木志郎
撮影/安藤庄平
音楽/ホリ企画
美術/斎藤よし男
出演/梶芽衣子、范文雀、地井武男、藤竜也
カラー シネマスコープサイズ 84分
「野良猫ロック」シリーズの第2作目。
学生時代に全5作を池袋・文芸地下のオールナイトで見て以来、久々の再見だ。
東京湾の埋め立て地帯を根城とする不良グループ、名前の由来は不明だがその名も「ペリカンクラブ」のメンバーC子(梶)、タキ(地井)、ガニ新(藤)ら5人。彼らは四輪駆動車で街を走り回り、日々、女とケンカと暴走に明け暮れていた。
そこへある日、白馬に乗った(!)美少女タキ(范)が現われ、彼らにある計画を持ちかける。その計画とは、宗教団体・正教学会の寄付金3000万円の強奪計画だった。
この「野良猫ロック」シリーズは各作品とも独立したお話で、毎回、内容的なつながりはない。今回は前作の新宿だけを舞台とした閉鎖的な世界から一転して、彼らに現金輸送車襲撃という目的を与えることで、ダイナミックなアクション作品にしている。
だけど何しろ藤田敏八監督の演出ですから、そこはただのアクション映画になるわけはなくて、梶芽衣子や藤竜也らの刹那的な青春が実にペシミスティックに描かれている。日常の現実に縛られているぼくらとしては、藤田敏八の描くこんな不良たちの自由な生き方に、いつも憧れていたのである。
ストーリーはあってなきがごときで、最初から脱線しまくり、遊びまくり、ケンカしまくりで相当破綻してるんだけど、「野良猫ロック」に関してはこれでいいんです。描くべきは現金強奪のサスペンスではなく、不良少年たちの刹那的な生き様ですから。
そしてこの傾向は、シリーズ第3作
『野良猫ロック・セックスハンター』
で、より明確なものとなっていく。
撮影のアナーキーさも前作同様で、今回も勝鬨橋のたもとの歩道の階段をジムニーでガタガタと走り降りたりして、相変わらず無茶をやっちゃってくれてるので、こんな場面も見どころです。
見どころといえば、この当時、東京湾の埋立地に野ざらしで放置されていた第五福竜丸がさりげなく登場するシーンなどもあり、こんな場面でチクリと社会批判をするあたりも日活映画らしくて素敵である。
(2006/09/26)
参考サイト:
Wikipedia 第五福竜丸
野良猫ロック・ワイルド・ジャンボ
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