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『ヒトラー 〜最期の12日間〜』 (2004年 ドイツ=イタリア合作作品)

原題/DER UNTERGANG DOWNFALL
監督/オリヴァー・ヒルシュビーゲル
製作/ベルント・アイヒンガー
原作/ヨアヒム・フェスト、トラウドゥル・ユンゲ
脚本/ベルント・アイヒンガー
撮影/ライナー・クラウスマン
音楽/ステファン・ツァハリアス
出演/ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ラーラ、ユリアーネ・ケーラー、トーマス・クレッチマン
カラー ビスタビジョンサイズ 155分
 1945年4月、ソ連軍がベルリンに侵攻しつつある中、ヒトラーが地下要塞で過ごした最期の12日間を描いた映画。
 当時、ヒトラーの個人秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの回顧録『私はヒトラーの秘書だった』と、ヨアヒム・フェストのノンフィクション『ヒトラー 最期の12日間』を下敷きにした、ドキュメンタリータッチの作品になっている。
 戦争末期、ヒトラーは完全に理性を失い、狂気の命令を次々に発したとされるが、そんな中にも人間として揺れ動く気持ちをこまやかに見せた演出が、ぼくにとっては実に新鮮だった。
 ベルリンに戦火が迫り、ヒトラーやその周囲の将校たちの緊迫感がどんどんと増していくあたりの表現も見ごたえがある。
 ただ、見ていて辛いのは、登場人物の誰もが戦争犯罪人に見えてしまって、感情移入がしにくいことだ。
 それを端的に象徴しているのが自決の表現である。
 当時のドイツ軍には、「敵の捕虜になるくらいなら死を選ぶべし」という、第二次大戦当時の日本軍と共通する考え方があったわけだが、そこで死を決意するメンタリティには日本人とはかなり開きがあるように感じたのだ。
 適切な表現が見つからないんだけど、あえて言うと、追い詰められてもドイツ人は理性的に死を選ぶ、ということだろうか。そこに日本的なヒロイックな感情はかけらも描かれないのである。
 それにしても、反戦映画は見た後の印象がやるせない。

(2006/09/04)
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