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柴又名画座
No.243
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『ラスベガス万才』
(1963年 アメリカ作品)
原題/Viva Las Vegas
監督/ジョージ・シドニー
製作/ジャック・カミングス、ジョージ・シドニー
脚本/サリー・ベンソン
撮影/ジョゼフ・バイロック
音楽/ジョージ・ストール
振り付け/デイヴィッド・ウィンターズ
出演/エルヴィス・プレスリー、アン・マーグレット、チェザーレ・ダノヴァ、ウィリアム・デマレスト、ニッキー・ブレア
カラー シネマスコープサイズ 86分
エルヴィス・プレスリーの映画の中でも傑作の1本!
貧乏自動車レーサーのラッキー(プレスリー)が、ラスベガスを舞台に、イタリアのスピード王マンチーニ伯爵(ダノヴァ)と、恋とレースで張り合うという、ミュージカル青春ラブロマンスだ。
ラッキーとマンチーニ伯が共に好意を寄せるのは、ホテルで子どもの水泳教師をしているブロンド美女ラスティ(マーグレット)。
その彼女が最初に登場するファーストカットは、ラッキーとマンチーニ伯が車の下に潜り込んでメカを見ているところへ、彼女が、超ショートパンツのセクシーなおみ脚で歩み寄り、ふたりを見下ろすという、何ともサービス精神旺盛で印象的なシーンだ。
彼女は「車の調子が悪いの。見てくださる?」と言って、ふたりの男を従え、小さなお尻をプリプリさせながら愛車トライアンフの元へと歩いていく。
テレビ放送時の湯川れい子氏の解説によれば、この映画がきっかけで、プレスリーは、すでに同棲中の恋人がいたにもかかわらず、マーグレットとも密かに交際を始めたとのことで、なるほどうなづけますね(笑)。
ドラマは実にご都合主義的で、広いラスベガスで偶然に彼女と再会したり、ラッキーがルーレットで一発当てて、ようやくレース用エンジンが買えると喜んだ矢先にそのお金をホテルのプールで落としてしまうなど、何もかもが出来すぎなタイミングで展開する。
このお気楽で能天気なまでの明朗さは、かつての若大将シリーズを始めとした東宝青春歌謡映画を彷彿させて妙に懐かしい。
というのも、そもそもルーツはこっちであって、それを東宝がパクってたんですけどねー(笑)。
せっかくだから若大将映画のヒロイン=星由里子も、マーグレットばりに歌ったり踊ったりガンガンやればよかったのに、由里子さんはお人形さんのようなお嬢様(気は強いけど)をずっと演じていましたね。
話が若大将に脱線したから、この映画に戻すと、ラッキーとマンチーニ伯が、偶然出会った彼女はホテルのショーガールに違いないと思い込み、彼女を探してラスベガスのショーを見て回る、という設定で、さまざまなショーが見られるのがサービス精神満点でいい。カジノとショーが中心の大人の遊び場だった60年代のラスベガスの雰囲気が垣間見えるのも貴重です。
ついでにラッキーとマーグレットがデートをするシーンではヘリコプターの遊覧飛行でフーバーダムを上空から見下ろすなど、その他の観光地まで紹介しているあたり、観光映画としても抜け目ない。
映画のクライマックスは、ついにエンジンを手に入れたラッキーがラスベガスグランプリに出場するシーンだ。ラスベガス市内からスタートし、市街地を抜けてフーバーダムを経由し、砂漠地帯まで突っ走る、かなり乱暴な公道レースである。まあ言ってみればマッハGO!GO!GO!ですね(笑)。
ラスベガスグランプリといえば、F1シリーズで1981年と82年にアメリカグランプリがラスベガスの特設サーキットで開かれたことがあったけど、それ以前にもあったというのは初めて知った。調べたら60年代終わりごろまでやっていたみたいだ。今もやればいいのに、って、さすがに無理か。
(2006/01/10)
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