Top
柴又名画座
No.145
Back
『眼下の敵』
(1957年 アメリカ=西ドイツ合作作品)
原題/THE ENEMY BELOW
製作・監督/ディック・パウエル
原作/D・A・レイナー
脚本/ウェンデル・メイズ
撮影/ハロルド・ロッソン
音楽/リー・ライン
出演/ロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンス、デビッド・ヘディソン、テオドール・バイケル、ラッセル・コリンズ、カート・クルーガー、フランク・アルベルトソン
カラー シネマスコープサイズ 98分
第2次大戦時、南大西洋を舞台に、アメリカ軍の駆逐艦と、ドイツ軍の潜水艦が、息づまる攻防戦を展開する。
中学か高校のころにテレビの吹替え版を見て以来で、ワイド版を見るのは初めて。以前、見たときには、最後に敵と味方がどうして仲良くなってしまうのかがわからず、釈然としなかった記憶があったんだけど、今回その理由が初めてわかりました(笑)。
戦争中に敵味方で心が通い合うという映画は、50〜60年代のアメリカ映画によくあるけど、そうした中でも、プロフェッショナル同士が互いを認め合い尊敬し合うという意味では、この作品が代表格だろう。
前半の、互いに相手の行動を読みながらの緊張感あふれる心理戦もいい。
米・独合作ということで、ともすれば互いに主張し合ってぶつかったり、逆に遠慮しあって中途半端になりそうなところだが、そこで少しも妥協せずに、それぞれの乗組員たちを人間的に描いた脚本も見事である。
観客としては、潜水艦が攻撃されれば、潜水艦の乗組員に感情移入して緊張し、駆逐艦が攻撃されれば駆逐艦の乗組員になってハラハラする。そんな振幅がラストでひとつの気持ちになるところまで、揺るぎない構成力は、今も少しも古びていない。
「なんだーアメリカ映画だって、こんな深い話が作れるじゃん」ってカンジかな。
(2000/07/28)
[Top]
|
[Back]