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柴又名画座
No.135
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『裸の大将』
(1958年 東宝作品)
監督/
堀川弘通
原作/山下清
脚本/水木洋子
撮影/中井朝一
音楽/黛敏郎
出演/小林桂樹、三益愛子、市村俊幸、高堂国典、沢村貞子、団 令子、青山京子、加東大介、飯田蝶子
カラー シネマスコープサイズ 92分
放浪の天才画家として知られた実在の人物・山下清を小林桂樹が好演した作品だ。
裸の大将というと、後に、テレビシリーズで芦屋雁之助が山下清を演じて有名になったため、そちらのイメージの方が強い人も多いかもしれない。けれども、この小林桂樹の山下清もなかなかスマートでいい味を出している。
映画は、まだ山下清が天才画家として知られるようになるちょっと前の戦時中の時代を舞台にしていて、それだけに、最初は山下をバカにしていた人々が、彼の正体を知ってハハーッというパターンにはなっていないところがテレビシリーズと違っていて好感が持てる部分だ。つまり人物の魅力だけで見せる物語になっているのである。また、山下を取り巻く人々が、彼が何をやってもダメであるにもかかわらず、非常に暖かい目で見ているところにも好感が持てる。実に悪人はひとりも登場しない映画なのである。
ぼくはこの映画を、高校時代にたまたま遊びにいっていた友人の家でテレビで見たのが最初で、それ以来、特に理由はないにもかかわらず、なんだか思い入れの深い大切な映画となっているのであった。映画ってやっぱり出会いなんですよね。
(2000/06/08)
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