『三十四丁目の奇蹟』 (1947年 アメリカ作品)

原題/MIRACLE ON 34TH STREET
製作/ウィリアム・パールバーグ
監督・脚本/ジョージ・シートン
原作/バレンタイン・デイビス
撮影/チャールズ・G・クラーク
音楽/シリル・J・モックリッジ
出演/モーリン・オハラ、ジョン・ペイン、エドモンド・グーエン、ジーン・ロックハート、ナタリー・ウッド
白黒 スタンダードサイズ 95分
 クリスマスシーズンのニューヨーク。本物のサンタクロースと自称する老人が、デパートの宣伝用サンタのアルバイトをしながら、次々と奇蹟を起こしていく。
 現実的な考え方をするシングルマザー(オハラ)は、自分の娘に「嘘は教えない」という教育方針で、幼い頃から「サンタクロースなどいない」と教えてきた。
 そんな彼女に思いを寄せる男性(ペイン)が、サンタ老人とタッグを組んで、彼女のかたくなな心を解きほぐしていく。
 よく、ある子供が夢を信じているかいないかという判断の基準として、「サンタクロースの存在を信じているか?」ということが引き合いに出されることがある。
「あなたは何歳までサンタクロースの存在を信じていましたか?」なんて尋ねたりとかね。もしかして、そんな会話のルーツがこの映画なのだろうか?
 しかしぼくは、そういう会話を聞くたびに、いつも疑問に思うのだ。
 果たして「サンタクロースの存在を信じていた年齢までが、その子供が夢を信じている年齢なのだろうか」とね。
 だって、ぼくは幼稚園に入る前からまんがに読み耽り、怪獣映画を見まくっていたけれど、いま思い返すと、かなり早い時期からそれらが作り話であることを認識していた気がするのだ。けれどもその一方で、幽霊や宇宙人の存在は、ここに書くのも恥かしい年齢まで存在を信じていたし(今でも信じているかも?)。
 だから「サンタクロースの存在を信じているか否か」だけで子供が夢を持っているかどうかを判断してはいけないし、「子供にサンタクロースなんていない」と教えることが、即、子供の夢を破ることにつながるものでもないと思うのだ。
 要するに、人間は、かなり幼い頃からフィクションの存在と価値を認めているということを、夢を持たない大人たちは知るべきだということですね。

(1999/12/14)


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