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柴又名画座
No.021
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『黄金の馬車』
(1953年 フランス・イタリア合作作品)
NO PICTURE
原題/LE CARROSSE D'OR
監督/
ジャン・ルノワール
原作/プロスペル・メリメ
脚本/ジャン・ルノワール、ジャック・カークランド、レンツォ・アヴァンツォ、ジュリオ・マッキ、ジネット・ドワネル
撮影/ロドルフォ・ロンバルディ、クロード・ルノワール
音楽/アントニオ・ヴィヴァルディ、アルカンジェロ・ユレッリ、オリヴィエ・メトラ
出演/アンナ・マニャーニ、オドアルド・スパダーロ、ポール・キャンベル、ダンカン・ラモント
モノクロ スタンダードサイズ 103分
次々と登場する何人もの人間の性格を、端的にさらりと描き分けてしまう手腕はさすがルノワール!! 特に序盤に登場するナルシストの闘牛士などは、一座の主演女優(マニャーニ)に客席から手を差し伸べる自己陶酔しきったトロンとした表情と手の動きだけで、完全にそのキャラクターを表現しきっていた。“キャラを立てる”というのはこういうことを言うのだな。
ところで、このイタリアから来た旅芸人一座というのが、イタリアの伝統的な大衆演劇である
即興仮面劇
(
コメディア・デラルテ
)
の一座であった。コメディア・デラルテは、イタリア喜劇のルーツともいえるものであり、映画ではフェリーニの作品などにも多大な影響を与えている。仮面をつけ菱格子模様(つぎはぎのぼろ布を図案化したものだという)の服を着た道化師が登場するのが特徴で、軽妙な味わいが信条。ところが、それをルノワールが演出するとこうも風格のあるものになってしまうのか、というところも興味深かった。まるで木の実ナナを思い起こさせるマニャーニのガラッ八でざっくばらんな態度と貴族連中の鼻持ちならない特権意識との対比も見どころのひとつ。
メリメの舞台劇の映画化だというが、映画のフレームと劇中劇の舞台のフレームが2重に重なって視覚を惑わすようなお遊びで映画ファンをニヤリとさせるところなども心憎い演出だ。
(1999/05/02)
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