Top monologue 2001/03/07 | Back |
▲これが購入したCF-H31CL。大きさは前に使っていた業務用のファックスより小さいが、給紙トレー部分を加えると床面積はほぼ変わらないため、設置場所に余裕は生まれなかった。待機中の消費電力は、親機5.6W、子機1.8Wで合計7.4W。受信時のコール音を完全に消すには「おやすみ機能」という設定にするしかなく、そうすると右下の赤い「留守ランプ」が24時間、煌々と点灯しっ放しになる。部屋の明りを消すと、これがかなりまぶしい。 |
機種は、事前にカタログで調べてあったので、これしかないと決めていた。何しろ業務用じゃないホームファックスだと、B4の紙で出力できるのはキヤノンしかないのだ。それ以外のメーカーのファックスはB4で入力のできる機種はあっても、プリントアウトできるのはどれも最大A4まで(B4で受信したものはA4に縮小印刷される)なのである。
仕事に使うには、例えばレイアウト用紙が送られてきたり、マンガ家がネームを送ってきたりする際にB4の出力は必須(最近はそうでもなくなってきたけど)なので、もはや機能がどうのとか価格がどうのとかいう以前に、キヤノンしか選べないのである。
でもってキヤノンの現行機種には、このCF-H31CLの他に、各種情報を表示する大型(といってもPDAの画面程度)液晶ディスプレイを備えたCF-H51CLと、つい先日発表されたばかりの、eメール対応機能を装備した新製品CF-H55CLの2機種がある。CF-H51CLは、CF-H31CLより約1万円高。そして、CF-H55CLはまだ店頭には並んでいなかった。しかし機能的な違いはここに書いた部分だけなので、上位機種を買う必要は全くないのであった。CF-H51CLの液晶ディスプレイには、ファックスの受信内容が表示されるわけではないので、大型でもあまり意味がないし、ファックスでeメールなんてやるつもりはないのでCF-H55CLを買う必要もないというわけ。
さて、実際の使用感はどうかというと……、さすがにホームファックスの市場も誕生してから5〜6年は経っているため、機能的な過不足はないし、ボタン配置もよく練られていて分かりやすい。ハンドスキャナはまだ使ってないけど便利そうだし、液晶ディスプレイ付きのコードレス子機が1台付属し、留守電としての機能も必要十分で、電話機としても問題なく使える感じだ。
匡体が安っぽくてペコペコなのと、デザインとも言えない大味で不粋な外観は、他のメーカーのファックスも同じで、厳しい価格戦争の中で徹底的なコストダウンを強いられているためにあきらめるしかないのだろう……。
しかーーーし!! 問題はファックスとしての基本性能にある。まず通信速度9,600bpsは遅すぎ!! ほとんどのファックスモデムが14,400bpsでフツーに送受信できるんだから、こういう部分でのコストダウンはやめてもらいたい。
それから、受信メモリの容量が少なすぎ!! カタログでは「A4のモノクロ標準原稿を最大55枚受信可能」となっているが、設置後、出版社から初めて送られてきた30枚ほどの原稿の受信中に、いきなりメモリがオーバーフローして受信が中断してしまった。それにはマンガの下描きが含まれていたので、メーカーの言う「標準原稿」よりも情報量は多かったんだけど、のっけからコレなんだもの、あたしゃ、何だかガックリきちまっただよ。メモリだって今どき安いでしょー。もちっと奢ってもらいたいよねー。
でもこの通信速度もメモリの容量も、キヤノンに限ったことじゃなくて、どのメーカーもだいたいこれが標準的なスペックなんだよね。業務用じゃないからといっても、ファックスとしての基本性能をないがしろにするのは、設計思想として間違ってると思うんですけどね。
それからもうひとつ。送信の際に原稿を一度メモリに記憶させてから送信するということができない。業務用ファックスだと、セットした原稿をメモリに高速でサッサと読み込ませて、あとは放っておけば自動で送信するというのが普通だから、ぼくはホームファックスでもそれがフツーにできるものだと思っていたのだが、これは他社のホームファックスでもそうなのだろうか。技術的には何の問題もないだろうから、これもメモリをケチった弊害だな。
▲つい先日までうちで使っていた2代目のファックスMURATA F-32。6年ほど前、友人がファックスによるメンバー制通販とかいうマルチまがい商法に入会してしまい、そのファックスネットワークに参加するためには、この機種にしかないポーリング機能が必要と言われ、当時7万円も出して買った中古品(笑)。ぼくは、これは明らかにうさん臭いと思ったから、その会合の現場に乗り込み、グループリーダーとかいう人間に「あなた方、○○(ぼくの友人)に7万円もする中古機械を買わせて、それ以上の収益を保証してくれるんですか!?」とか直談判したんだけど、友人の方がもうすっかり買う気でいるもんだから、ぼくの決死の交渉ものれんに腕押しでまるで効果なし。結局友人は、7万円も出せばすでにメモリー受信や留守電付きファックスが十分買えた時代に、2世代前の機能しか持たない骨董品の在庫処分を手伝わされ、案の定、ネットワークは尻つぼみとなって消滅、この機械だけが手元に残ったのだった。元々その友人はファックスなど必要ない一般人だったために、「もう見たくもない」と嫌われて行き場を失ったこの機械はぼくが引き取り「フツーのファックス」として静かな余生を送った。人に人生があるように機械にも機生があると、ふと思ってしまいます。 |
音声ガイダンスを「シナイ」に設定しても、操作の間違いを防いだり快適にお使いいただくために、次のようなときには音声ガイダンスが流れます。これを読み終えた時、ぼくはガックリきて、もはや怒る気力も消え失せた。しかもこのビープ音も音声ガイダンスも音量を絞ることすらできないのだ。あ、あとファックス送信終了時にもこのビープ音は鳴り響く。うーむ……。
・ファクスのプリントが終了したとき
・インクの交換をするとき
・エラーが発生したとき
・らくらくファクス機能で、ファクスを受信したとき
それから、この機種のセールスポイントでもあるカラーファックスの送受信&カラーコピー機能だが、これを利用するためには通常セットしているモノクロインクカートリッジをカラーカートリッジに交換しなければならないというのも、せっかくの魅力的な機能を使いにくくしている。
また、インクカートリッジの他にプリントヘッドも交換可能にしてメンテナンスを容易にしたのはいいのだが、そのインクカートリッジとプリントヘッド組み合わせが、カラー1種とモノクロ2種の計3種類あって、それぞれに決められた組み合わせがあり、またそれには分売不可の組み合わせと別々のパーツとして販売されている物とがあるなど、ゴチャゴチャでひじょーに分かりにくい。しかも取扱説明書の消耗品リストの欄外には、
*BJカートリッジとの混乱を避けるため、本文中ではインクカートリッジを「インクタンク」と表現しています。などと書かれているのだが、そもそもインクカートリッジと混乱しそうなBJカートリッジとは何なのかが説明されていないから、混乱しようがないんだけど……と思いつつ、インクカートリッジを本文中では「インクタンク」と表現しているのに、巻末の消耗品リストには「インクカートリッジ」と書いているのはどういうわけかが分からない。だったら最初から「インクタンク」と呼んでおけばよかったものを……と思うのだが、いくら考えてもよく分からない。
まあ、あれこれ文句を書いたけど、実際にはぼくが16〜17年前に初めて買ったキヤノンの業務用ファックスは、購入価格が40万円もして、メモリ受信もなければ普通紙対応でもない、留守電やコードレス子機なんてもちろんない、ただ感熱紙を送受信するだけの機械で、体積がこのCF-H31CLの2倍以上もあるというシロモノだったんだからね。それを考えたら、その10分の1の価格でこの性能は素晴らしいのひとことに尽きるでしょう。ぼくは物持ちはいい方だから、壊れなければ5年でも10年でも使い続けると思います。